読書感想文「OUT アウト(桐野夏生)」

何度も読み返してしまった。内容は濃いし、好みも大きく分かれる作品だと思う。しかしながら、、主人公の境遇はよくある感じなのかもしれない。主婦であってもみんなが社会に上手く入り込め、対人関係も上手に・・そんな事は無いのだろう。

 

作品的には決して新しいモノではないが、主婦たちの立ち位置、、それは今の社会でも共感を得るものであると感じる。出口の見えない介護や家庭を顧みない夫・・。すぐ近くにも存在する・・そんな気にさせられる作品だ。事件に手を染めてしまう過程・・自然の流れの様に描かれている。

 

 

 

心との葛藤でもそうするしかない。桐野夏生さんのうまい所だと思う。登場人物も個性的だが、、どこにでも居そうな設定。若い子も年配者も。それぞれの生活があり、それぞれに大切に思う事もある。全く接点が無い様に思える人達が、、パズルが組み合う様にはまっていく。

 

こういう上手な小説が最近少ない様に思うのは私の勉強不足だろうか。パズルが上手くはまった時、、大きなとんでもない方向へ進んで行く・・それも自然な流れで。そういう事に手を染めてしまう事が、あたかも当然で当たり前かの様に。上下巻で完結のストーリーではあるが、続きを読みたい気にさせらる。

 

この後、主人公がどういう道を歩んでいくのか、、主人公と自分を重ねた時、どういう選択をしてこの先 生きて行くのか。何度も読み返した本であるが、その度ごとに、、この先のストーリーが変わってしまう。そう思う。この本はホラーなのだろうか。ホラー作品では決して無いだろう。

 

例の作業の場面は印象に残る場面ではあるが、、この話の中心ではない。淡々と作業をこなし、、それらを処分する。ゴミステーションは見慣れた場所であるし、身近な場所でもある。本を読み終えてから時間が過ぎても、、ゴミステーションを見かけると思ってしまう。

 

そこに残された袋があればなおさらだ。彼女たちは今頃どうしているのだろうか。自分ならどう過ごしているのだろうか。。この作品は心の奥に消せない何かを残していく・・そんな作品である。

 

(40代女性)

 

 

 

 

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