読書感想文「おばちゃまはシルクロード(ドロシー・ギルマン)」

『おばちゃまはシルクロード』は、ドロシー・ギルマンの「ミセス・ポリファックス・シリーズ」の1冊だ。ミセス・ポリファックスが中国に潜入する物語である。任務は、重大な軍事機密を握る中国人男性を国外に脱出させるため、もう1人の情報員のカバーを務めることだ。

 

もう1人の情報員が誰かということは、事前に知らされていない。そのため、物語の前半は、ミセス・ポリファックスとともにもう1人の情報員が誰かを探ることになる。もう1人の情報員が分かった時、意外な人選に驚くことになる。ミセス・ポリファックスの視線で人物評価をしてきたため、ダメな若者と感じていた人物だったからだ。

 

 

 

中国を特殊なルートで旅行する一行の中で、一番仕事が出来そうもない若い男性が、実はもう1人の情報員だった。物語の後半は、その情報員とミセス・ポリファックスの協力ぶりが描かれる。ミセス・ポリファックスが柔軟性を発揮して情報を短時間で入手する様は、いつもの通りだ。

 

しかし、その様子を初めて見たもう1人の情報員の感嘆ぶりから、おばちゃまの手並みに改めて驚くことになる。 そして、ミセス・ポリファックスの関心は、物語の後半から別の問題に移っていく。ダブルスパイの存在だ。「自分たちはダブルスパイのために汚れ仕事をさせられているのではないか?」

 

と疑い、ミセス・ポリファックスはダブルスパイの正体を知ろうとする。そこで、旅行の参加者が再度検討されていく。どの人物も怪しげに見えてくる中、唯一除外されていた人物が、ダブルスパイだったことが明かされる。そのダブルスパイを密かに始末するのが、ミセス・ポリファックスである。

 

ミセス・ポリファックスにとって、それは2回目の殺人だった。殺人後、恐れおののきながらも、冷静にもう1人の情報員に指示を下すミセス・ポリファックスは、有能な情報員の側面をはっきりと示している。そこには、気のいいおばちゃまの面影はない。

 

『おばちゃまはシルクロード』は、ミセス・ポリファックスの情報員としての成長ぶりを実感できる1冊になっている。

 

(50代女性)

 

 

 

 

 

 

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

 

ドロシー・ギルマン作品の読書感想文はこちら

コメントを残す

シェアする