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読書感想文「正欲(朝井リョウ)」

「正欲」の読書感想文

私が読んだのは、朝井リョウ著の正欲という小説だ。インスタグラムの小説を紹介するアカウントの投稿でこの本を知った。その投稿によると、「正欲」を読めば、多様性の考え方について今までの常識が覆ると紹介されていた。

多様性という言葉は、ここ最近よく聞く言葉で、「色々な種類の人間がいることを広く認めてあげようね」というくらいにしか認識していなかった。もしかして、違うのか。本当の意味での多様性って何だろうと、その小説に記されている答えを知るべく読み始めたのがきっかけだ。

読み始めてみると、序盤は、一見関係のなさそうな人々の人生がそれぞれ語られていたが、物語を読み進めるにつれてその物語が重なり合っていくという構成が取られていることが分かった。物語に出てくる不登校Youtuberの男子小学生とその両親の苦悩は、色々な生き方が許されるようになってきた現代でも、一定のレールを外れることはさすがにまずいのではないか。

学校の価値とは何なのか。子育てで最も大事なことはなんなのか。について深く考えさせられるような内容だった。世間体を気にするあまりに息子の話を聞き入れられなくなった父親。息子がどんな人生を歩もうと息子の言葉に耳を傾け、夢中になれることを応援する母親。両者の気持ちが理解できるからこそ、子育てにおいて何が正解かなんて本当に分からないなと思った。

でもただひとつ、子供の話はちゃんと聞いてあげなければ、理解できなくても尊重してあげなければ、親子関係に亀裂が入ると本書を読んで察した。私も6歳の女の子を育てている身なので、教訓にしようと思った。

そして、本書の一番のトピックは、水が好きすぎるというあまりにも独特すぎる性癖の存在だ。にわかには信じがたい。本当にそんな人がいるのかよと思ってしまう内容だが、これこそが自分の持っている常識が崩れ落ち、世の中にある多様性があまりにも表面的なものなんだと思い知らされた内容であった。

自分の常識の範囲外の出来事はいっぱいある。だからこそ、決めつけはよくない。もっと色々な可能性を想像し続けなければいけない。そう思い知らされた小説であった。

(20代男性)

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