「みをつくし料理帖」の読書感想文
歴史小説と言えば、どうしてもスポットが当たるのが、武士の生き様や幕末をイメージするが、この小説は少し要素が異なり、江戸時代の料理と言うところがユニークなポイントだ。そして、1人の少女が大阪から江戸へ渡り、様々な人間との出会いをベースに成長を遂げ、一流の料理人に成長していく姿を描くと言う過去にはない歴史小説である。
それも、自分自身が生まれ育った、大阪の料理屋を江戸で立て直す、さらには生き別れてしまった友人を探し、吉原で働いていることを知るやいなや、どうやって自分に近い存在にすることができるかを考えるなど料理以外にも彼女のサクセスストーリーには様々な苦難がある点が共感を覚える。
小説でありながら、彼女が絶世の美女では無い事は描写でよくわかるが、そんな彼女も恋をし、幸せになる姿を読みながら、ついつい応援してしまうところが素晴らしいストーリーだと感じる。
最終的にはハッピーエンドを迎えるわけだが、これだけの前途多難な人生をどこにでもいそうな少女が力強く生き抜く姿、江戸時代にはこうした苦労する女性が立派に生き抜くことが難しかったことを考えると、非常に素晴らしいと感じる。
料理が好きで、自分自身がその道で1粒になろうとする姿、それも、自分自身の家賃だけではなく、お世話になったお店を立て直すことを、友人を助けることなど、いろいろな思いを持ちながら頑張る姿は、今の若者にも是非とも感じてもらいたい。
小説を読んでいて、面白いのは、江戸時代の料理がきちんと挿絵がついた上で示されていることやレシピまで乗っていることだ。料理が好きな方々にとっては、小説を楽しむだけではなく、江戸時代の料理を再現しようと考えるのではないだろうか。
違った意味でこの小説を読みながら楽しみを感じることができた。これだけの長編小説でありながら、実際に読み出すと休む間もなく読み終え、彼女の成長する姿を感じつつ感情移入してしまった。
(40代男性)
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