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読書感想文「ホワイトラビット(伊坂幸太郎)」

「ホワイトラビット」の読書感想文

伊坂幸太郎の他の小説に出てくる空き巣の黒澤さんが重要なキーマンとして登場。相変わらずのクールぶりである。この黒澤さんの件だけでも伊坂シリーズを読んできたファンにはクスリとさせられてしまう。物語は、仙台市内の住宅地。母親と息子が、押し入った強盗に人質となり現場からの中継が報じられる。この強盗犯の名は兎田。
 
そして兎田については、冒頭で綿子ちゃんなる大事なお嫁さんがいること、そして誘拐を生業とする「会社」に所属していることが明らかになっている。この「会社」が、経理の女とその女につけこんだ男に金を奪われてしまう。この金を奪い取った男の名は折尾。通称オリオオリオ。
 
名前が星座のオリオン座に近いことから、オリオン座についての雑学に詳しく、オリオン座にまつわる話が関連してくる。「会社」は折尾を探して金を取り返さないと、別の組織に払わねばならない金を工面できない。なんとしても折尾を探さなければ。そこで、折尾を探すために白羽の矢をたてられたのがこの兎田であった。 
 
黒い仕事で手を汚している兎田が、「会社」の金を盗み取った折尾を探すことに。しかし、探せと言われて簡単に動くわけがない。そのため「会社」は綿子ちゃんを人質に取り、折尾見つけられなければ綿子ちゃんを殺すと脅したのであった。必死に折尾を探す兎田。ついに折尾のカバンにつけられていたGPSから、件の民家にたどり着く。民家に押し入る兎田。
 
しかしそこには母と息子の2人しかいなかった。それも普通の親子だ。そして押し入ったその家に折尾はいない。折尾のカバンはそこにあるのにも関わらず。なぜ折尾のカバンが民家にあるのか?綿子ちゃんを救うことはできるのか?時間は刻々と過ぎていく。その時二階で物音がする。折尾なのか?誰かが隠れているに違いないと二階へ行く兎田。
 
そこで男を発見して揉み合いになるが、喉をつぶされながらもかろうじて兎田は男を捕獲する。折尾なのか、この家の主人なのか?階下へ連れて行くと、母と息子は主人であるという。しかしこの男はあの空き巣の黒澤さんなのであった。別の空き巣が間違えてこの家に入り、空き巣に入ったことを告げる黒澤さんのメモをこの家に置いてきてしまったのだ。
 
メモを回収しにきたところで兎田と鉢合わせたのだ。なぜか口裏を合わせてくる母子。面倒なことに巻き込まれた黒澤さん。そして兎田と綿子ちゃんの運命が民家の中でオリオン座とともに交差する。兎田の立てこもり事件だからホワイトラビットなのか?この状況から、どうしてテレビによる現場中継が行われることになるのか?綿子ちゃんの運命は?
 
そして親子の謎と折尾の行方は?全ての解は全く予想できない展開を迎え、伊坂幸太郎の十八番であるクライマックスに向けての伏線回収により明らかとなる。因幡の白兎の物語とオリオン座の神話はもちろんこの伏線回収に含まれてくる!終盤の予想できない展開が、ただの民家立てこもり事件をミステリーに仕立て上げている。
 
兎田は中継現場から脱出できるのか?という疑念を持ったまま、しかしそれよりもどうする黒澤さん?に気を取られ、ジェットコースターのようにスピード感を持って変化して行く展開にページをめくる手は最後まで止めることができなかった。
 
(30代男性)

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