読書感想文「砂漠(伊坂幸太郎)」

この話の全てには麻雀が鍵となっていると私は感じた。大学生といえば麻雀だというような安直な考え方のように思えるがその安直さがストーリーの展開を面白いものにしたように感じる。キーマンとなる人物が西嶋という男である。冒頭では頭のおかしくオタクっぽい、一見近づきたくないような印象を受けた。

 

この男とは関係を持ちたくない関わりたくないと思わせるような印象から入ったのにも関わらず、大多数の人はこの男を最後には1番好きな人物になっているはずだ。この西嶋は負けず嫌いであり無鉄砲であり、それでいて友人想いな努力家である。この努力さと一生懸命さに登場人物の中で1番の人間らしさを感じられる。

 

 

この西嶋の周りに東堂、南、北村、鳥井といるのだがこの西嶋という頭のおかしい男を基準とすると普通に見えてしまう。超美人の東堂も超能力者の南も主人公であり客観視が長けてる北村も、女遊びの激しい鳥井も普通だ。しかし、最後の最後1番普通に見えるのは西嶋だろう。

 

西嶋以外の4人は西嶋に感化されたのか、それとも突然才能が開花したかのように情熱的に、時に感情的になる。熱血ストーリーでもなければドキドキする恋愛ストーリーでもない、ましてや推理小説でもない。それにもかかわらず読んでいると不思議と、自分も西嶋に感化されたかのようにストーリーに入り込み恋愛にドキドキし、裏を読むように推理していたり、熱血的に登場人物を応援している。

 

現実的な内容が豊富で超能力を否定する者、女遊び激しい者を嫌う者、麻雀好きだが情報通な謎のオヤジ。こういったサブの人物を交えながら普通の日常を自分にだけは特別であった日常へと変化させていく。複雑なように見えるが内容は一貫していていつの間にか読み終わってしまっているだろう。

 

内容が簡単だからスラスラと読んでしまったなんてものではない。これは今読まなくてはいけないというような、自分で自分に下している使命感に駆られて読み終わっていた。

 

(10代男性)

 

 

 

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