読書感想文「がらくた(江國香織)」

読み終わった直後に思ったのが、この本タイトルなんだったっけ?だった。“がらくた”ということは分かっていたのだけれど読み終わった後に内容とタイトルがうまく結びつかなかったのだ。作中に頻繁にがらくたという言葉が使われるわけでもないし、やたら象徴的ながらくたらしいものがあるわけではない。
 
一体何をさしてがらくたなんだろうと考えてしまった。タイトルはとりあえずおいておき内容はというと、終盤に近付くにつれて少し読むのに疲れてしまった。中年の女性と女子高生という二人の女性を軸に話が進むのだが後半は女子高生の出番が多かったせいだろうか。自分が学生のころは10代の登場人物が出る小説を好んで読む傾向にあったが、大人になってからはどうも10代が頻繁に登場する話が苦手になってきた。
 

 
 
10代特有の大胆さと傲慢さがなんとなく生意気に思えて鼻につくからだろうか。作中に中年の女性がなぜか女子高生をついつい見てしまい目が離せなくなるという内容のことを言うのだが、これに対して中年女性の母親がそれは嫉妬によるものだと指摘する場面がある。自分もかつて持っていて今は失ったものに対する嫉妬なのだと言う。なるほどと思った。
 
私も10代の子を見るとなんとなくまじまじと見ていたい衝動に駆られるのだがそれは懐かしさとほほえましさからくるものだと思っていたのだが違ったのか。確かにそれもあるとは思うのだがそこには認めたくない嫉妬があるのかもと少し衝撃を受けた。この小説、中心の登場人物がどの人も情けなく私は感じるのだけれど、唯一かっこいいと思えるのがこの中年女性の母親なのだ。話す言葉が簡潔な人は小説において心いいなと思う。
 
実生活では確実に怖い印象を受けるのだろうけれど、小説においては少なからず補足が入るのでこういう人はかっこよく感じる。疑問を疑問のまま素直に人に向けられる人をとてもうらやましく思う。言葉を選ぶことはもちろん大事だが選びすぎた結果中身のない会話になるのもほんとうにくだらない。
 
私は絶対こんな風にはなれないと思うからこそかっこよく感じた登場人物だ。この小説、あまり感情移入できる人物がいない内容だった。誰の気持ちにも寄り添えないので人物とその恋愛がチープに感じるという個人的な思いで“がらくた”という退廃的なタイトルがぴったりだなと最終的に思った。
 
(20代女性)
 
 
 

がらくた (新潮文庫)
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