読書感想文「冷静と情熱のあいだ―Rosso(江國香織)」

この作品を知ったきっかけは、ダ・ヴィンチという小説雑誌だった。二人の作家の合作というキャッチコピーに惹かれ、本屋にいった。最初ハードカバーで発売されている二冊の表紙を見たときに、なんて素晴らしいセンスなんだ、とため息をついた記憶がある。眺めているだけでもうっとりするようなそのハードカバーに一目ぼれし、即二冊とも購入した。

 

辻人成が描くblueの主人公は順正という男性。あおいという女性との過去の恋愛を思い出に持っている。描かれている背景はイタリア。順正の職業は日本ではあまり耳にしない、絵画の修復士という設定である。

 

とにかくこのイタリアについての描写が生々しく、手に取るようにわかる。私がはじめてイタリアを訪れたとき、すぐに脳裏にうかんだのがこの小説に描かれた背景だった。「気前のよい空」「歴史ある街並み」一言では言い尽くせないそのイタリアの風景を描いたこの品の晴らしさを身をもって実感した。

 

 

また、主人公の心の動きの描写も本当によく描かれている。順正の心のひだまで表現したその描写は読者にの心に入り込んでいく。そして江国香織が描いたrossoは主人公はあおいという女性。全く同じ物語を主人公を変え、違った視点で描いているところが本当に面白く感じた。

 

よくありがちなきゃぴきゃぴした恋愛小説という感じではなく、大人びた感じを憶える。主人公の女性は集団性をもつどろどろした人間関係に生きる女性、ではなく一人の時間を大切にしている、という設定。

 

お風呂に対するこだわりがあり、お風呂に入っているシーンの描写が想像力をとても掻き立てられる。全く同じ時間、同じ時を生きた二人が、別々の視点で描かれており、エロチシズムも読み手の心をえぐり、くすぐる。とにかく想像力を刺激されるというてんで、とても気に入っている。

 

 

(30代女性)

 

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