「劇場」の読書感想文
「なんだか村上春樹みたいだなぁ」が最初の感想である。登場人物がちょっと病んでいるところや、全体的に暗いところや、風景の丁寧な描写など、どうしても村上春樹を思い出させるような本だったと思う。また、「又吉直樹は本物の作家になってしまった。この人は本をどれだけ読んだのだろう、語彙も豊富でかなり頭が良さそうだ。
お笑いのジャンルはもういいのではないか。」とも思った。実際、「火花」で芥川賞を受賞したのだから、遅すぎる感想になってしまったが。私は、登場人物の誰にも共感できずに誰の応援もしないまま本を読み終えてしまった。なのに、最後には不覚にも涙を流してしまった。主人公の永田は、上京し、同じ高校だった野原と一緒に劇団を作っている。
たぶん多くの人から見て意味不明な演劇をしているが、プライドだけは誰よりも高い。そして極度の人見知りで、理屈が多い。彼女となった沙希にもお金を払わずに部屋に住まわせてもらい、高圧的な態度をとっている。私はずっと永田に嫌悪感があり、「なんでこんなやつに彼女ができるのだろう」「彼女の部屋から追い出されたらいいのに」「演劇を続けていたって成功しないぞ」「親友の野原に迷惑ばかりかけやがって」と、腹を立てながら読んでいた。
彼女の沙希は、永田に才能があると信じている。学校を卒業して親からの仕送りがなくなると、昼と夜、仕事をかけもちしてまで家賃や生活費を稼ぎ、永田を養っている。好きになった人だからしょうがないのか?と思いながらも、やっぱり腹が立ってしまう。結局沙希は、地元に帰ってしまうのだが、私はそれでやっとほっとできた。
なのに、最後にふたりが会った場面では、ふたりとも、「別れたくないし、お互いに感謝している」という会話であった。私が意地悪な人みたいではないか。ふたりとも純粋に恋愛をしていたのか。わからないままだったけど、唯一「好きな人と離れたくない」という気持ちだけは同感できた。
永田は、実際に演劇の世界にいそうな人で、東京に行き小さな劇場に行ったら、たくさん似た人に出会えるんじゃないかと思えるところがとてもいい、誰をモデルにして書いたのか知りたいと思った。まだこの本の中での最後、永田は演劇を続けているが、この先どうなっていくのか、続きがとても気になる。また沙希のような人が現れるのか、人として成長していけるのか。続編を希望する。
(40代女性)
この作品全般の感想は「だから何?」「お前が言うな」「もう少し考えて行動しろ」の三点に集約される。この作品ではまともなのは沙希と野原だけ。ほかの面々はキチガイだらけで得に永田と青山は特大級のDQNで永田はひたすら持論を押し付け受け入れられないと暴力と暴言のオンパレード。演劇よりもヤクザでもやったほうがいいんじゃないのといわんばかりの粗暴漢でした。青山は中途半端な実力を鼻にかけて他人を見下し人の話を聞こうとしない女DQNの典型。この二人のやり取りはひたすら見苦しくストレスがたまること請け合い。正直なところこの程度の作品が純文学・現代文学の基準であるならば同ジャンルに未来はない様に思えた。
最後に一言。又吉直樹。お前は作家に向いてない。さっさと引退して芸人に集中しろ。あれもこれもとできる実力もないくせに勘違いするな。回りの人間は利害が絡むからお前の批判はしない。したら失業するからだ。だが利害のない俺なら言える。聞く耳があるなら聞け。聞く耳持たないなら勝手にしろ。それでどうなっても俺は知らん。