「花の鎖」の読書感想文
序盤に複数の謎が生まれ、中盤、終盤にかけて点として存在していた内容が線になっていき、面になるおもしろさがある。物語は3人の女性それぞれの話しが少しずつ順番に記されており、最初はどう関係があるのか分からないが、共通点がだんだん登場していくことで謎が解けていき、読者としては難しいクイズが分かったときの様な爽快感を得ることができる。
主人公は3人の女性で、それぞれ全く違う性格で、違う人生を歩むが、実は祖母、母、娘の関係だということが終盤に分かる。それぞれに特殊な事情があり、それら全てが繋がっていることがわかった時がこの物語の本当におもしろい部分である。
細かく見てみると、娘の梨花についてはKという正体不明の人物から毎年花が送られており、そのKを探すことになるが、その中で母や祖母の話を知っていく。梨花の話だけでいうと、それほど面白みがあるわけではない。登場人物の話しして最もおもしろいのは、やはり全ての原因となる梨花の祖母の美雪の話である。
美雪の夫の和也は美雪の従兄弟が和也の忠告を聞かない事で事故死してしまうが、美雪の従兄弟は忠告をしたのは自分だと虚偽の証言をする。一方で梨花の母、つまり美雪の娘である紗月は大学時代にサークルの先輩をお父さんと間違えて呼んでしまうことから親しい関係となり、恋愛関係となる。しかし、その男性が父を失う原因となった美雪の従兄弟の息子だと知り、関係を断つ。
それぞれの複雑な想いと、人間関係が上手く表現されており、三世代に渡る壮大な物語となることで寂しやさ切なさ、もどかしさを感じながらも、最後は納得のいくよう決着がつき、良かったねと優しい気持ちになれる内容である。この本を読んで、妻や家族との時間がいかに大切かを私は改めて感じた。
美雪の夫が事故で死んでからの美雪な様子を見ていると、妻や家族をこんな風にしてはいけないと感じたからである。また、3人のそれぞれの家族や大切な人を想う気持ちも改めて家族を大事にしようと想えた。
(20代男性)
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