読書感想文「ナイフ(重松清)」
私は重松清さんの大ファンで、重松さんの本はたくさん読んでいる。重松作品の中でも、読んでいて心が痛くなるような話(最後はハッピーエンド)が好きで、好んで読んでいる。この「ナイフ」という小説は、「イジメ」が題材の5つの短編のお話が入っている。
5つとも、それぞれ面白いが、その中でも本のタイトルにも使われている「ナイフ」という話が好きだ。この話は、背がすごく小さくて、それ故に自分に自信がもてず、いろんなことから逃げてばかりいた父親と、その息子のお話だ。息子も父親に似てしまい、背が低い。主にそれが原因でいじめられている。
ある日、父親は息子のカバンからひどく落書きされた教科書などを見つけてしまい、息子がいじめられていることに気づく。ずっと自分に自信がなく、臆病に生きてきた父親は、息子がいじめられている事実とどう向き合っていいのかわからない。
しかし、幼馴染であこがれの存在「よっちゃん」が自衛隊で命の危険にさらされながら頑張っている様子を耳にしたり、ちょっとしたきっかけでサバイバルナイフを手に入れたことから、少しづつ息子と向き合い、息子のピンチに駆け付けたりする。そんな父親の姿を見て、息子は「カッコイイ」とま全く思わないが、何かを感じ、息子も自らいじめっ子と向き合い始めるのだ。
私にも高校生の息子がいるが、もし自分の子供がいじめられていたら、絶対に助けてあげる!と思っているが、いざ、自分の子供がいじめられている事実を知ってしまったら、このお話の父親のように、はじめは現実から逃げてしまうかもしれない。でも、守るべきものがある人間は強くなれるもの。
自分のコンプレックスとも向き合い、愛する家族を守るために頑張ることができると思う。最後、お話はすごくハッピーエンドとはいかないが、明るい未来の見える、とても重松さんらしい終わり方だ。他の4作品も、かなりいじめの描写は激しいが、そんな中にも面白いエピソードを交えて、とても重松さんらしくまとめてある。
(40代女性)
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