「重力ピエロ」の読書感想文①
何かを愛する時、決め手となるものはなんだろうか。相手なのか、自分の気持ちなのか。許すという行為は、自分のためのものなのか、それとも誰かのためのものなのか。人は皆、ピエロのように仮面をかぶって生きている。
笑顔の自分、悲しそうな自分、怒っている自分、嬉しそうな自分、そして、大好きで大嫌いな本当の自分。主人公の出生は、決して喜ばれるものではなかった。本人はそれを自覚していて、悩んで、苦しんで、結局は仮面を捨てて生きていた。
主人公が本当の自分と向き合うことができたのは、他でもない愛のおかげだった。考えれば考えるほどわからなくなる世界の中で、自分は何をすればいいかわからない、そんな風に感じることが多くある。そんな中でも主人公は自分を考える道を選んだ。
愛されることよりも、愛することの方が難しい。形のないものを信じ、さらには自分も信じなければならないからだ。そもそも愛とはなんであるのか。最上級の好意の表現だろうか。形容できない他人に贈る気持ちだろうか。それとも、偽りから生まれる自分も他人も騙す気持ちだろうか。
私は、今までなにもわからなかった。答えなんてないものだと思っていた。いや、考えることを放棄していたのかもしれない。私はこの本の中の一文に答えを見つけた。「楽しそうに生きていれば、地球から重力なんてなくなるさ。」分かるようで、わかりにくい一文だ。
でも、確かに心の刻まれていく。これは、楽しく生きろというメッセージではない。あくまで楽しそうに生きていればである。真実でも、虚実でもいいから、自分の好きなように生きていればいい。私はそう読み取った。重力はなければ困るものである。
しかし同時に、自分たちを縛り付けるものでもある。私たちは大きな矛盾の中でも生まれ、矛盾の中でも死んでいく。だったら、矛盾を抱えて生きていけばいい。何かにとらわれないこと、それが正であろうと負であろうと。これこそが愛と呼ばれるものではないだろうか。これが、私がこの本を読んだ感想である。
(20代男性)
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