「白夜行」の読書感想文①
白夜行は私の中で最も心に残っている一冊である。東野圭吾の作品を、ミーハーに読み漁っていた時期がある。その中で特に印象深く残っている作品が白夜行である。
二人の小学生が奇妙な運命のなか出会い、幼いながらに犯罪を犯し、その罪を背負いながらいつか太陽の下歩きたいと身を潜めながらまた犯罪を重ねてしまう。
そんな中でも揺るがない絆が、良い悪いは別として、羨ましいと思えた。どこにいても何をしていても他の誰といたとしても、運命共同体なのである。
そして亮治の献身的な愛情。応えるようにお金を稼いでいく雪穂。いつまでも追いかけていく笹垣。この3人の関係にハラハラしながら、分厚い本だったがすぐに読み終えた。
途中までは背景がよくわからないままで話が進んでいくので、繋がったときにはハッとした。そういう事だったのかわ、と驚かされた。こんな複雑な話を書いていくのに、どれだけ細かく設定してから書いたのだろうかと、思った。
最初の殺人事件からの展開。雪穂の周りで様々な事件が起き、怪しいといえば当然だが、小さい頃の雪穂を覚えていてそこに繋げてみる笹垣の勘にも寒気がした。
出来事だけを追っていけば亮司はただの犯罪者である。だがいつも全ては雪穂の為に犯している罪なのである。これ程の犠牲を払ってまでの愛情がただ素晴らしいと思えた。ここまで誰かに愛されたいとまで思った。犯罪は悪いというのはわかっている。
この2人が犯罪を犯さずに、幸せになれた道を考えたりもした。だか亮司の父親が生きていれば幼い雪穂は苦しみから逃れられず不幸であった。
父親の犯罪を明るみに出したとして亮司はいじめにあい、転校もするだろう。やはり犯罪を犯しても犯さずしても幸せな道というのが見つからなかった。父親を殺してしまったのは軽はずみであったと思うが、許せない気持ちと雪穂を守りたいという気持ちは純粋なものである。
だが亮司は死亡届を出した時点で人生を捨ててしまった。太陽の元に戻れなくなってしまっても良かったのかという疑問は残った。ただ時効がきて、雪穂が幸せならば結婚などしなくても良かったのか。
凡人には到底理解できないような、深い愛情だったのだろう。理解はできなかったが、感動はできた。推理小説のような、ミステリーかと思ったが、悲しいラブストーリーであった。
(30代女性)
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