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読書感想文「草枕(夏目漱石)」

読書感想文「草枕(夏目漱石)」

「草枕」の読書感想文①

理不尽だと感じたり、割り切れない思いをすると、決まってこの本の冒頭部分を思い出す。人生には理不尽なことがつきまとう。その時に、自分にどう言い聞かせ、どう納得するのか。あるいは、どうやってあきらめるのか。

それについて、私はこの本で学んだと思っている。初めて読んだのは10代だった。その時は、受験対策の一環としてしか興味はなかった。しかし、読後何かひっかかるものはあった。

受験勉強と無縁になり、読書するのに好きな本を選ぶ余裕ができた頃、ひっかかりを覚えていたこの本をもう一度手に取ってみた。改めて読み終えた時に、自分の中に何かストンと落ちてくるものがあった。人の世が住みにくいからとて超す国はありまい。

あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の国よりなお住みにくかろう。まずなにより、自分の感じている理不尽さを他の人も感じていたということに驚いた。

そんなことは当たりまえのことなのだが、自分のことだけで精いっぱいで、他人の感じていることなどにまるで無頓着だった自分を恥ずかしくも思った。その気づきがあってからは、極力他人を敬まい、気遣うことで人でなしの国の住人とならないようにしている。

気遣うことは時に多少疲れ、窮屈かもしれない。皆が思い思いに主張し、行動するのは自由で良いことだと思う。しかし、多少の窮屈な思いがあるからこそ、人の世は均衡がとれて成り立つものだ。

皆が、自分だけが、自分だけは、と考えていてはいつか「人ではないものが住む国」となってしまうのではないだろうか。私は、そんな国には住みたくない。

そして、明暗は表裏の如く。人生は明るい時ばかりではない。暗い時期があるからこそ明かりもあり、喜びがあれば悲しみもある。

疲れた時、つらい時、悲しい時。この時期があるなら、楽しい時、うれしい時、喜ぶ時がやってくることを改めて教えてくれる。

私は、負の感情をいつまで引きずってしまう性分だ。ひとしきり落ち込んだら、次にくる「表」を思うようにしている。短い文章のなかに人生について教示してくれた本だと思う。こんな本と出会えて幸せだと思う。

(40代女性)

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