「容疑者Xの献身」の読書感想文①
衝撃の結末だった。私が推理小説というジャンルに興味を持つきっかけとなった作品である。もともと、本を読むことは好きな方であったが、読むのは専ら偉人の自叙伝や自己啓発本の類であり、小説のジャンルにはあまり手を出さなかった。
中でも推理小説なんてものは(今では何故だか分からないが)、読む選択肢にも入らない程、意識の外側の存在だった。そんな中、本屋を廻っているときに東野圭吾シリーズ売り上げNo. 1という触れ込みの本作品が目に入った。
やたらと東野圭吾を推しているものだから、買ってみようということになった。いざ読んでみると、自分でも驚くくらいハマりにハマった。最後のクライマックス部分に至っては、通勤途中、交差点で信号待ちの時間に本を開けてしまうくらい。それくらい止まらなかった。
他の東野圭吾作品でもそうだが、人それぞれ色んな事情や考え方があって、例えそれが殺人であっても、果たしてその犯人だけが悪いのか? 一概にそういえないんじゃないか? という非常に難しい問いについて、私自身読んでいて考えさせられた。
それまでの私個人の推理小説に対するイメージは、明らかに悪い奴がいてそいつが人を殺して探偵役の主人公が捕まえる、という正義が必ず勝つ「水戸黄門」的なストーリーのイメージを持っていた。
しかし本作品はそうではない。本作品でも殺人が起きてしまうわけだが、話が終盤になっても話が終わっても、果たして何が一番正しいのか、考えさせられる内容だった。少なくとも私には一概に本作品における殺人犯だけが悪い、間違っていた、とは思えない。
仮に本作品でどのキャラクターが一番好きか? と問われたら、私は間違いなく犯人役のキャラクターの名前を挙げる。
もちろん人を殺すということは悪いことではあるのだけれど、気に入ってしまうくらいその犯人役の人間性が魅力的で、変な言い方だけれども、幸せになってほしい、と応援したくなるような気持ちになった。
とはいえ、人を殺すことは絶対にしてはいけなくて、もし自分がこの犯人の立場ならどうするだろう、どうすべきだろう、と今でも考えさせられる。
また、最後に明かされる本作品で行われた犯行におけるトリックは、それはもう自分の想像可能な域を飛び越えた内容だった。読みながら思わず驚きの声を無意識に口に出してしまうくらいの衝撃を受けた。
自分の考えられる枠外の出来事を体験することは私にとって体験したことのない快感であり、この後私が東野圭吾シリーズを読破するきっかけの一つとなった。
最後に本を読み通して感じたことは、何故こんな伏線だらけの複雑な話を作ることができるのか、ということである。聞くところによるとこの筆者はまずゴールを設定して話を逆算するようにしていくことで一つの小説に仕上げるとのことだ。
それを聞いて私はなるほどと思い、そういった思考方法はビジネスを開拓したり進めたりする上でも応用できるのではないかなと、一つの発見にもなった。総じて、衝撃あり学びありの一冊となり、大きな満足感に満たされることとなった。
(20代男性)
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