読書感想文「容疑者Xの献身(東野圭吾)」

衝撃の結末だった。私が推理小説というジャンルに興味を持つきっかけとなった作品である。もともと、本を読むことは好きな方であったが、読むのは専ら偉人の自叙伝や自己啓発本の類であり、小説のジャンルにはあまり手を出さなかった。中でも推理小説なんてものは(今では何故だか分からないが)、読む選択肢にも入らない程、意識の外側の存在だった。

 

そんな中、本屋を廻っているときに東野圭吾シリーズ売り上げNo. 1という触れ込みの本作品が目に入った。やたらと東野圭吾を推しているものだから、買ってみようということになった。いざ読んでみると、自分でも驚くくらいハマりにハマった。最後のクライマックス部分に至っては、通勤途中、交差点で信号待ちの時間に本を開けてしまうくらい。それくらい止まらなかった。

 

他の東野圭吾作品でもそうだが、人それぞれ色んな事情や考え方があって、例えそれが殺人であっても、果たしてその犯人だけが悪いのか? 一概にそういえないんじゃないか? という非常に難しい問いについて、私自身読んでいて考えさせられた。それまでの私個人の推理小説に対するイメージは、明らかに悪い奴がいてそいつが人を殺して探偵役の主人公が捕まえる、という正義が必ず勝つ「水戸黄門」的なストーリーのイメージを持っていた。

 

しかし本作品はそうではない。本作品でも殺人が起きてしまうわけだが、話が終盤になっても話が終わっても、果たして何が一番正しいのか、考えさせられる内容だった。少なくとも私には一概に本作品における殺人犯だけが悪い、間違っていた、とは思えない。仮に本作品でどのキャラクターが一番好きか? と問われたら、私は間違いなく犯人役のキャラクターの名前を挙げる。

 

もちろん人を殺すということは悪いことではあるのだけれど、気に入ってしまうくらいその犯人役の人間性が魅力的で、変な言い方だけれども、幸せになってほしい、と応援したくなるような気持ちになった。とはいえ、人を殺すことは絶対にしてはいけなくて、もし自分がこの犯人の立場ならどうするだろう、どうすべきだろう、と今でも考えさせられる。

 

また、最後に明かされる本作品で行われた犯行におけるトリックは、それはもう自分の想像可能な域を飛び越えた内容だった。読みながら思わず驚きの声を無意識に口に出してしまうくらいの衝撃を受けた。自分の考えられる枠外の出来事を体験することは私にとって体験したことのない快感であり、この後私が東野圭吾シリーズを読破するきっかけの一つとなった。

 

最後に本を読み通して感じたことは、何故こんな伏線だらけの複雑な話を作ることができるのか、ということである。聞くところによるとこの筆者はまずゴールを設定して話を逆算するようにしていくことで一つの小説に仕上げるとのことだ。それを聞いて私はなるほどと思い、そういった思考方法はビジネスを開拓したり進めたりする上でも応用できるのではないかなと、一つの発見にもなった。総じて、衝撃あり学びありの一冊となり、大きな満足感に満たされることとなった。

 

(20代男性)


 

 

 

 

私がこの本を読んで、一番強く思ったことは、人はこれ程までに人のことを愛せるのかということである。愛する人を守り抜く為に、自らが殺人の容疑者になること、また、愛する人の幸せを一番に願い、自分とは違う人間と結ばれることを助長すること、果ては自分にストーカー行為という汚名を着せてまで、愛する人の罪を隠蔽すること。

 

もちろん、この作品の様に殺人という手段を取ることは禁じられているが、止むに止まれぬ状況下に置かれた時に、自らを犠牲にしてまで愛する人を守りぬくという姿勢には感銘を受けた。私にも、現在妻がいる。今でも愛しているし、これからも愛し続けることに変わりはないが、この作品と同じ状況になった場合、同じことができるかどうかは甚だ疑問である。

 

私がこの作品に触れた当時はまだ独身であったが、結婚する際に、妻のことを殺人以外の方法で守り抜くということを、この作品から強く学んだ。それ以外にも、容疑者と警察関係者の攻防戦も、読み応えがあるところの一つである。ある一つの出来事が後に重要な意味を成してくることが、冒頭から目白押しなのである。

 

死体の指紋を焼いたり、映画のチケットの半券の保管場所にまで拘ってみたり、何気なく発した言葉が、最終的には事件解決のヒントになったり、だ。私がこの作品に初めて触れた時、また何度となく読み返した時も、ページをめくる手が休まることはなかった。それほど、巧妙に張り巡らされたトリックに驚愕させられたものである。

 

しかし、トリックの話題になると正直なところ、理解が出来ていない部分もある。私は根っからの文系人間である為、物理学とは根本的に縁がないのだ。だが、このシリーズの作品に触れたことで、多少なりとも物理学に興味が湧き、今まではわからないことはそのままないがしろにしていた所も、自分の納得できる範囲で学習し、知識を付ける様になってきた。

 

これは、仕事でも十分に発揮できている。故に、私がこの作品に触れたことは、人生観や道徳観、仕事観等、自分に関わること全てにおいて、重要なファクターとなったのである。

 

(30代男性)


 

 

 

 

小説という媒体に対して苦手意識を持っていました。国語の授業などで読んだ程度なのですが、退屈で助長で何を伝えたいのかきちんと考えなくては楽しめない面倒な娯楽だと思っていました。そんな自分はあるドラマにはまります。月曜九時の時間帯に放送され大ヒットしたガリレオと呼ばれるそのドラマは原作が小説だと知りました。

 

原作者は東野圭吾で数々のヒット作を生み出した天才作家らしく、その作品の中には白夜行もありました。自分は白夜行も大好きで、ハマッタドラマだったので東野圭吾に対してかなりの興味を持ち、調べてみたところ、容疑者xの献身という小説が絶賛されている事を知りました。

 

ガリレオシリーズの続編であり、映画化も予定されてるとのことで近所の本屋さんでも平積みされていました。これは何かの縁だと手に取り購入。読んでみたところもの凄く面白かったです。まず、何が面白かったのかと言うと、ストーリーはもちろんなのですが、何より文章が読みやすかったです。

 

口語に近い形で書かれて居るのですらすらと読めて、文章に対して苦手意識を持っていた自分の価値観は見事に払拭されました。また、ドラマを見ていた事も影響してか、キャラクターの想定がすんなりと出来たのも影響して余計に読みやすかったです。そして、本編です。練りに練り込まれたプロットで、緻密なトリックと計算、謎が読めば読むほどに解けていき、またさらにはどんでん返し的な要素もあり、最後まで飽きずにわくわくした気持ちで見れました。

 

特に、石神と呼ばれる第2の主人公がストーカだと思わせておいて、実は純愛だったと知ったときの感動は大きく、その後、思慕する相手に対して送った手紙が読まれたときには涙を流しました。ねじ曲がっているけれど、まっすぐ相手を思う気持ちが凄く良いと思いました。

 

自分は石神のみたいに全てを掛けて好きな人を守る事が出来るほどの恋をしたことが無いので想像でしか無いですが、深い愛情を持っていたんだと思います。全てのトリックが見破られ、石神だけが犯人ではないと知れたときですら、好きな相手を守る術を持って居た石神の頭脳にも感心しました。

 

(20代男性)

 

 

 

 

 

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