読書感想文「おばあさんのひこうき(佐藤さとる)」

この本は私が小学生の二年生か三年生かは忘れたが夏休みの読書感想文の宿題の為に学校の図書室で借りた本だ。当時どう感じたかは明確に覚えてはいない。だが、翌年の夏休みの読書感想文の宿題の為に借りる本を探していた時に背表紙を見付け、去年読んだがまた読みたいと無性に思い再び借り、読み感想文を書いた本だ。

 

あれから三十年程経ち、子供の通う小学校の図書室で背表紙を見付けた。空き時間の間に、二度も借りたなと懐かしくなり読み始めた。当時はおばあさんの日常と発想が面白いな位の感想だったが、この年になり再び読むと当時と違う感想も持つ。

 

今のご時世、おばあさんと言われる様なご高齢の女性は70代以上ではないか? と思われ、このおばあさんは昔に書かれたお話なので、おそらく60代位だと思われる。だから、当時面白いと思ったおばあさんの日常や発想もまだまだ現役で意欲的で当たり前とも思ってしまった。

 

子や孫が住む土地から遠く離れ近所の住人から編み物の仕事を受け生計を立てているのだが、当時は生計を立てている等考えもしなかったなと、大人と子供の違いを感じた。子供の時は編み物をしているおばあさんを不思議な特別な生き物のファンタジーの様なお話の様に思ったが、今ならば趣味を仕事に退職後も意欲的に取り組んでいるのだなと、作品中にもこのおばあさんは年を重ねてもまだまだ自分の知らない編み方も有ると、その編み方をマスターしようとする描写が有る。

 

私の年齢はまだおばあさんと呼ばれる年には程遠く子供達もまだまだ幼いが、自分がおばあさんと呼ばれる年になっても何か打ち込める物を持っていたいと、今からでも打ち込める趣味を持とうと児童書であるが、この本を読んで意欲的になった。

 

編み物と言うのだから、おばあさんが忙しなく編み棒を動かすのは寒い季節や寒い季節を迎える前だ。だから、春を迎えるとおばあさんは暇になる。ここも当時、親の仕事は毎日季節に関係無くするものだから、寒い季節以外が暇になり窓辺に蝶々が飛んで来たりする描写がファンタジー的なお話だと思ったものだが、大人になって読み返すと季節により仕事量が左右されたりする職種も有ると凄く現実的なお話だと思った。

 

 

 

おばあさんに可愛い孫から手紙が届き返事を書こうと思うが、窓辺に飛んで来た蝶々の羽の模様に心を奪われ、この蝶々の羽の模様を編もうと試みるのだが 孫に手紙の返事を書く事も忘れ自分の趣味に没頭してしまう辺りも、当時は面白いおばあさんだと思ったが読み返した今は現実的だと思った。

 

日常的にならなければならない家事を特別な、例えばバザーの手作り用品の作成に力を入れて時間を忘れてしまったり、逆に子供が話しかけて来ても今は夕飯の仕度で忙しいと蔑ろにしてしまったりする。そう言う事だと思い、子供の時は孫の事を忘れるおばあさんを酷いと思ったりもしたが今ならば共感出来るし理解出来ると思った。

 

その後は中々上手く蝶々の羽の模様を編めない日々が続くのだが、そんな時に蝶々の羽の模様を編んだ編み物が蝶々の羽の様にフワフワ浮かび上がる。この非現実的なお話が始まる件は今でもワクワクしてしまった。おばあさんは不思議に思いながらも大きな大きな編み物を編めば空も飛べる羽になるのではないか? と編み物に精を出す。

 

子供の時はおばあさんの思い付きに面白いと思い、大空を飛ぶ憧れにワクワクした。今でも現実的な事を忘れワクワクした。それと並行して年を重ねてもこの発想に至る柔らかい頭に、頑固じいさん・ばあさん等と呼ばれる様なご高齢の方も多く居る現実だからこそ、自分も年を重ねても柔らかい頭の持ち主でいたいと割りと切実に思った。

 

編み物を完成させ飛行機の羽にしたおばあさん。この飛行機は表紙絵にもなっている。おばあさんの椅子に手で操作する羽を取り付けた機体だが、この絵が私に本を読みたいと思わせたのだ。おばあさんの椅子が脚は見えないが高い木製の背凭れがロッキングチェアを想像させ、おばあさんが操る羽が金属製等では無く編み物で有る事が不思議と暖かみを覚えるのだ。久しぶりにこの本を手に取った今でも同じ感想を覚え、まだまだ子供の感性を理解したり出来る自分に嬉しくも思った。

 

飛行機を完成させたおばあさんは大空を飛び山を越え、子と孫が住む土地に向かう。編み物に没頭し孫への返事を忘れていたのも孫や子に会えるかも知れないと言う気持ちでいっぱいだったからも知れないと思ったが、そんな描写は全く無かった。子や孫と離れ一人きりの生活は想像以上に寂しいものだったのではないかと、子供の時は考えもしなかった事も思ったのは私が大人になったからだろうか。

 

子や孫の住む土地に到着したおばあさんはそのまま子や孫と同居する事になりお話は終わる。子供の時は喜ぶ孫や子、おばあさんに良かったねと思った。そこは今でも現実的な事を抜いて良かったね、おばあさんと思った。おばあさんに会えて喜ぶ孫よりも孫と会えて喜ぶおばあさんに良かったねと思ったのは、やはり私が年を重ねたせいだろう。また、突然同居となったおばあさんの息子の奥さんに少し複雑な気持ちを抱いたのは、やはり私が嫁と言う立場になったからだろう。

 

昔とは違う現実的な感想も持ったが、子供の時に感じたおばあさんへの暖かい様な思いや飛行機に乗って大空を飛ぶ時のワクワクする思いは今でも変わらず読んで感じた。他にも子供の頃読んだ児童書を読みたいと思った。子供の頃読んだ児童書を大人になった今読むと、大人になって忘れていた様々な気持ちや感想を思い出したり、昔とは違う目線や感想がある自分を発見したりできる。

 

(30代女性)

 

 

 

 

 

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佐藤 さとる
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