読書感想文「手紙(東野圭吾)」

初めて読んだ東野圭吾さんの作品が手紙だった。ちょうど主人公と同い年くらいの時に読んだからか、感情移入してしまい、私にしては珍しく涙した。その後映画化されたが、本で読んだものとの間に違和感がなかった。

 

これも珍しいことだと思うが、配役が良かったのだと思う。普段一度本を読んでもまた読み直すということは少ないのだが、「手紙」に関してはこの限りではなく、何度か読み直した。印象に残っているシーンはいくつかあり、主人公の兄が弟への思いがきっかけで、殺人を犯してしまう。

 

それが故に、その罪を弟も背負っていくというやるせなさ。また、後に主人公の恋人になる女の子が、加害者の身内だと知ったあとも揺るがず彼を愛し、支え抜いたこと。これは当時まだ恋愛というものの経験が少なかった私にとっては少なからず衝撃を与えられたもので、その後好きな人が出来た時に折に触れて思い出したシーンでもある。

 

私もこんな風に誰かを愛したいという、無意識の気持ちがあったのだと思う。それから忘れられないのが、最後のシーン。兄のいる監獄に弟が訪れるシーンだ。本と映画では多少違いがあるのだか、それでもあんなに目に、頭に焼き付いているシーンはそれまであまりなかった。

 

このように感想を書いていると、私は映画の方により影響を受けている気がしてきた。それでも映画化されたものと原作の間に序列を(もちろん自分の中でだが)作らなくて済むのは、やはり原作が素晴らしいのだと思っている。

 

東野圭吾さんの作品は何と言っても読みやすく、突飛すぎないもの、殺人というなかなか巡り合わないものをテーマにしながら、どこか身近に起こりそうな人間関係を感じられるものが多いように思う。

 

私は「手紙」で受けた衝撃を機に、それから数年経った今でも東野作品の新作が出る度に、必ず手に取っている。どの作品も全く違うテーマであっても、日常のふとした時にシーンを思い返すようなものばかりで、私は全て気に入っている。

 

(30代女性)

 

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この作品を読んで、兄弟・家族について考えさせられた。犯罪を犯して刑務所に入った兄を持つ弟の人生は想像を絶するものであった。もちろん私自身は体験したことのない出来事なので、自分に置き換えて弟の気持ちを想像することはできなかった。

 

普通で考えると犯罪者を家族に持つ人間として後ろめたさを抱えながら生きていかなければいけない。それは計り知れない苦労だと思う。この作品のポイントは、兄がただ単に犯罪を犯したとういうことではないところにある。弟の学費欲しさに強盗をしてしまった。

 

その理由には同情できるが、犯罪は犯罪なので世間的にはもちろん許されない。弟もこんな兄を嫌いになれないのはそういった事実を知ってしまったからではないだろうか。しかし、自分の人生は兄のせいで何もかもうまくいかない、その葛藤は読んでいて心がしめつけられた。

 

獄中から兄は弟へ手紙を何通もだす。しかし一向に弟から返事は返ってこない。兄にとって唯一の希望だった弟からの手紙が来ない。その時の兄の気持ちを思うと、やりきれない気持ちになる。兄からの手紙に弟はどのように思ったのか。嬉しかったのか、それとも迷惑だっのか、おそらく両方だと思う。

 

だからこそ弟は兄へ返事を書くことができなかったのではないだろうか。弟を差別的な目でみる人間が多いなか、分け隔てなく接してくれた人物もいた。それは後に妻になる女性と、共にバンド活動をしてきた友達だ。女性のほうは犯罪を犯した兄に対しても理解があり、何度か弟のふりをして手紙に返信をしている。

 

弟にとったらただのありがた迷惑にすぎないが、兄にとったらどうだろう。最終的に兄は誰かが代筆した手紙だとわかっていたが、それでも自分の手紙に返信がきたので嬉しかったであろう。それと同時に、世間から差別されている弟に1人でも理解者が居てくれたことの方が兄は嬉しかったのかもしれない。

 

そしてもう1人の理解者の友達は、ラストで兄のいる刑務所へ弟と共に音楽ライブの慰問へ向かう。弟は最初ためらっていたが友達の一言で決断できた。そして刑務所の舞台上で数多くの囚人の中から兄を見つけ出した時、弟は何を思ったのだろう。

 

そこで小説は終わっているのであとは推測になるが、単純に生きている兄を見れて嬉しかったのだと思う。犯罪を犯しても自分のたった1人の大切な兄にかわりはない。この作品が伝えたかったことはたくさんあると思うが、やはり1番は家族というのは一生きってもきれない大切な存在であるということだと思った。

 

この作品を通じて当然のことだが、私もかけがえのない家族を一生大切にしていかなければいけないと感じた。

 

(20代女性)

 

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私が読んで泣いたのはこの本が初めてであった。この本を読んで私は報道される凶悪犯罪を見るたびに加害者の家族のその後について憂いるようになった。強盗殺人を犯してしまった直貴の兄である剛志は本当は心優しい青年であった。

 

しかし、力仕事で腰を痛めてしまい仕事を失うな弟を養わなければいけない。このような中で不運も重なり人を殺してしまう。どんな事情があろうと殺人は許されることではない。それでも、私はやりきれなかった。

 

大切な家族を守るために犯してしまった犯罪であった。世の中にはこんな事件も本当はあるのかもしれない。剛志の犯行が報道されたときに使用さていた写真も、優しい兄だが凶暴そうに見える写真が使用されていた。

 

たしかにこれまで私が見てきた凶悪犯罪の犯人の写真などは、ほとんどが凶暴そうである。この本の場合も目当ては金であった。当然、金目当てで住居に侵入のうえ、住人に見つかりとっさに殺害をしてしまったと報道される。

 

この本を読んで私はこれまで犯罪者の報道された部分しか知らなかったし、知りたいとも思わなかった。しかし、今はなぜそのような犯罪を犯したのか知りたいと思う。直貴は剛志が逮捕されてからどんなに努力をしても報われないことほとんどである。

 

仕事、恋愛と兄のことが知れるとすべてうまくいかなくなる。理由は家族に犯罪者がいるからだ。私なら直貴とどう関わるだろうか?おそらく、仲良くすることを避けできるだけ関わらないようにするだろう。

 

直貴がどんなに良い人でもである。直貴の勤務先の社長が直貴に対して言った言葉にハッとさせられたものがある。「君は差別されて当然なんだ。君が苦しむことこそが君のお兄さんの犯した罪に対する罰でもあるのだから。」という言葉である。

 

人生はうまくいくことばかりではない。自暴自棄になるほど辛いこともある。しかし、人には絶対に超えはいけないラインはあることを認識させられた言葉であった。この本を読み、誰もが犯罪を犯してしまう可能性はある思った。

 

しかし、犯罪をおかしてしまったとき罰を受けるのは自分の一番大切な人である可能性がある。そんなことにならないよう自分を人を大切に日々を過ごしたいと思った。

 

(20代女性)

 

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『犯罪』を犯すということはどういうことかか、加害者家族の未来はどうなるのか、というのがこの物語を通して教えられた。犯罪を犯せば罪の大きさに準じて罰を受ける。それは当たり前のことで、それがあるからこそ罪を犯さないという自制心にもつながる。

 

被害者にとっては 罪を犯した加害者は憎むべきものであることは理解できるし、その気持ちは共感できる。自分が被害者でなくても、もし身近に犯罪者がいたら嫌悪感はもちろん恐怖も感じることだろう。では加害者のその家族にはどのような感情を抱くのだろうか。

 

この物語は弟の学費を稼ぐため体を酷使して働き仕事のできない体になってしまった兄が、富豪の家に忍び入って居合わせた老婦人を殺してしまったことから始まります。犯罪を犯した兄のせいで弟は住む家を失い、仕事を何度も失い、親友を失います。犯罪を犯したのは兄だ。

 

それでも弟に次々と試練が訪れるのは、やはり弟が加害者家族だから。この一点につきる。この物語を読んだとき、まず弟が可哀そうだと思った。弟は何もしていないのに、兄に何かを頼んだわけでもないのに、どうしてこんな不幸な目に合うんだろう。

 

私だったら加害者本人には嫌悪感は残るが、その家族は関係ない、こんな目にあわす世間は非情だと思った。でも物語を読み進めるうちに、もし自分の隣の家に犯罪者の家族が住んでいたらどうだろう、と考えた。

 

犯罪者の子供は犯罪者ではない、それは頭では分かっている。しかし家族ということは犯罪を犯すような同じ環境で育っているということ。そうならば家族も同じ思考ではないのか。また、もし刑期を終えたら元犯罪者が帰ってくるのではないだろうか。

 

再犯率が高い犯罪もあると聞く。また犯罪を犯すのではないだろうか。今度は自分が被害者になるのではないだろうか。それは怖い。できれば離れたい。そう考えてしまう方が当たり前のような気がしてきた。

 

犯罪者は自分の生活から排除したい。その家族も念のため排除したい。そういった心理から弟は世間から迫害され続けることになる。弟はその生活を断ち切るため兄に手紙を書き絶縁を宣言する。

 

その手紙によって、兄は自分の犯した罪の大きさをさらに知ることになる。犯罪を犯すということは被害者は一人作るだけではない。被害者の家族、加害者の家族さらにはその周りの人間にも影響を犯すことなのだ。

 

それを感じた兄は弟の絶縁を受け入れるが、弟は被害者家族に加害者家族として会うことで兄の気持ち、被害者家族の気持ちを知る。罪を犯せば罪を償う。でも罪を犯すことで償っても償いきれない罪が新たに生まれることになる。罪を犯すということはどういうことなのか、良く考えさせられた作品であった。

 

(30代女性)

 

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まず主人公の兄が罪を犯した理由に疑問がある。弟のためとはいえ、そこまで情に厚い人間が
どうにかできそうな金額の学費のために強盗をしようと思うだろうか。働いて稼ぐ方へ意識が向くと考える方が納得できる。

 

殺人は勢いだったとしても、強盗に入ろうという発想の人間ではないと思うのでそこがいまいち無理があるように感じた。ただ、人間はそれほどまでに幼稚な一面もあるというのも否定はできない。どんなに聡い人でも愚かな選択をしてしまう。

 

気をつけろ、正しいばかりで生きるのは難しいことだぞ、ということを伝えようとしているのかもしれないと捉えた。兄の犯罪によって生きにくくなってしまった弟を見ているのはとにかく不快で辛かった。それと同時にのんきに手紙を書き続ける兄がやはり幼稚で現実をわかっていなく、とにかくわたしをいらつかせた。

 

どんなに後悔しようと手を合わせようと刑務所にいる限り世の中の非情な仕打ちを食らうことはない。弟は犯罪を犯した兄の何倍も傷つき、優しい兄とこの苦労が想像できない幼稚な兄の両面で感情が行き来し、罪悪感と憎悪で苦しみながら生きていくのであろう。

 

最後に兄に気持ちが寄り添う描写があるが、それほどまでに兄弟としての気持ちが離れて客観的に見られるようになっただけではいかと感じた。そうする事が自分を救う手段でもあるため意識的に客観的に兄を感じることで少しでも楽になろうとしているのではと。それが本当の解決ではないとしても、それによって弟の気持ちが軽くなるのであればよかったと思う。

 

この本は思春期の子どもにぜひ読ませたい。人生において道を踏み外すとこんなにも苦労する、家族に迷惑をかけ、後悔してももう遅いという最悪な状態になるんだということを知るには早すぎるどころか早い方がいい。わたしはそう思って最近反抗気味の中学生の息子にこの本を渡した。今を真面目に生きることがどれだけ難しく大切なことか、親としてのメッセージのつもりだ。

 

(30代女性)

 

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ひと月ほど前に読んだ作品。読了後にも何冊か他のタイトルを読んだが、今も時々「手紙」に登場する兄の心情を思い返してしまう。これ程までに心の隅をチクチクと刺してくる作品に今まで出会ったことはない。

 

テーマは実にシンプルだ。弟への愛情から殺人を犯してしまう兄と、家族に殺人者をいるという負い目を背負って一生懸命生きる弟。獄中の兄から定期的に送られてくる手紙。刑務所での生活が語られる。兄にとっては日常であるが、非日常の世界。なんでも無いような内容の手紙だが、弟への愛情が深く込められている。これは物語が始まってから終わるまで一貫している。

 

そんな兄を憎むようになり恨むようになる弟。私はそんな弟の人生に同情しつつも薄情な人間だとは思えなかった。恐らく私も同じ状況になれば同様の心境になるのだと。例え肉親であろうと、自分へ向けられた深い愛情を知っていたとしても、それはだんだんと変わってしまう。結局は目の前現実が全てて、最終的に人生が狂ってしまったのは兄のせいだと思うだろう。

 

親族に殺人者がいること、それが生きる上でこれ程までに大きな障害になるとは思いもよらなかった。上手いきかけた仕事も音楽も恋愛も、生きる為に失わざる得ない状況、その苦しみ。自分とは無関係と思いながら読み進めていたが、本当にそうなのか?と途中何度も自問した。

 

愛する人が窮地に立たされた時、自分にしか出来ないことがあれば、私もそれを実行するのではないか。それが例え殺人だとしても。そして兄の心情を想像した時、自分に残された唯一の家族、弟は生きる意味そのものなのだと気づかされる。手紙、それが唯一弟と繋がることのできる手段であり、生きる意味なのだと。

 

最後に兄弟は再開する。兄を目の前にして、弟は、今まで忘れていたものを思い出したに違いない。私はその情景を目の前で見ているかのようにリアルに思い描いた。その兄の姿が目に飛び込んできた瞬間、何かに強烈に打たれたような衝撃が走った。それは大袈裟じゃなく。

 

失ってから初めてその大切さを知る。その通りだ。失っていたのは、いや、忘れていたのは、兄の自分に対する深い愛情なのだと。そう気づいた時にはもう言葉はない。歌えないのは当たり前だ。

 

(30代男性)

 

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