読書感想文「ステップファザー・ステップ(宮部みゆき)」

「僕たち二人くらい、面倒みられない?」突然13歳の双子の男の子にそう言われたらどうするだろう?あり得ない展開ではある。だって双子の両親がそれぞれの相手と同時に駆け落ちして双子だけが残されるなんてあり得ないだろう。

 

さらにこの両親、元々週末にしか家に帰って来なかったと言うから驚きだ。育児放棄で訴えてやろうか? 読んでいて本気でそう思った。この突然双子の男の子から父親代理にスカウトされたのはなんとプロの泥棒。この泥棒、雷に撃たれたところを双子に拾われたのだからぶが悪い。

 

 

 

生活に困っていた双子と依頼を遂行したくても怪我を負い身動きの取れない泥棒の奇妙な共犯生活が始まった。この泥棒、何だかんだと双子の面倒をしっかり見る。愛人を作って出ていった本物の父親なんかよりも余程良い父親をしている。

 

口では何だかんだと言いながらも、言葉の端々に愛情を感じる。きっとこの泥棒、家庭を持ったらいい父親になっただろう。無事に泥棒に入り任務を遂行したあとも双子の父親業は続いていく。ふと思った。この双子に警戒心というものはないのだろうか? 見ず知らずの泥棒に父親業を頼むなんて普通ではない。

 

出会った状況が自分達に有利だったから恐怖心を感じなかったのか? それとも、泥棒が本当は心の優しい人なんだと見破ったからなのだろうか? 私は後者なのだと思う。そうであってもらいたい。双子がそれぞれ誘拐された。この時、泥棒は必死だった。双子を助けるための必死だった。血の繋がりはなくても、あのときの泥棒は双子の本物の父親だった。

 

夫婦とは元々他人であって血の繋がりはない。それが愛という目に見えないもので繋がって家族となる。それは親子でもきっとあてはまるものだと思う。目に見えない愛というものがあれば血の繋がりはなくても、血縁以上の心を繋がりが持てるのだと私は思う。愛というものがあれば、誰とでも心の繋がりが持てるのだと私思った。

 

結局この三人の関係はそのままで終わる。作者は続編を書くことはないと言っているようだが、この続きが非常に気になる関係だ。 親子とはなにか? 家族とはなにか? この本を読んだ後で絆について考えさせられる。

 

(40代女性)

 

 

 

ステップファザー・ステップ (講談社文庫)
宮部 みゆき
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