「空飛ぶタイヤ」の読書感想文①
父親の跡を継ぎ、運送会社を経営する赤松徳郎が、ある日、自社のトレーラーのタイヤが脱落し近くを歩いていた母子に激突し、死傷する事故を起こしたことを知るところから始まる物語である。
タイヤがはずれた事故原因は、自社の整備不良にあると、警察から一方的に決めつけられた赤松は、容疑者扱いされ事故を起こしたことで取引先からの信用を失い、取引先が離れていく中、倒産寸前の状態に追い込まれる。
赤松は、自社の従業員がトレーラーの定期点検はしっかり行っており落ち度はなかったことから、事故原因が整備不良ではなく、車両(メーカー側)に問題があったのではないかと考え、自社への容疑を晴らし経営を立て直すべく、社員、家族のためにトラックの販売元である大手メーカーへ戦いを挑む。
本書を読んだ感想として、赤松徳郎という人物が、経営者として非常に魅力的な人物だと思った。自社の従業員を家族のように思い、従業員の生活を第一に考え奔走する姿に、経営者とはかくあるべきと思った。
また、大企業では、個々の能力主義、成果主義に走りがちだが、中小企業では、経営者と従業員との距離が近いことや、従業員全員が一丸となって同じ目標に向かって取り組むなど、従業員の一体感や連帯感を感じながら仕事ができるところに働き方の違いがあると思った。
本来の働き方としてあるべき姿は、赤松運送のような従業員、経営者が一丸となり目標を共有し、目標達成にむけ邁進する姿ではないか。
現代社会では、金銭面等の処遇や待遇の良いところに転職するのが普通になっており、終身雇用は古い考えなのかもしれないが、赤松運送に見る働き方と比較すると、人間関係が希薄で、寂しい社会になっていると感じた。
大企業、中小企業、零細企業、それぞれの立場で様々な問題を抱えているとは思うが、大企業は、中小企業や零細企業を無くしては存在できないし、大企業に勤めている人間が偉いのではないという当たり前のことではあるが、忘れがちな問題についても改めて気づかせてくれた。
(30代女性)
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