読書感想文「蜘蛛の糸(芥川龍之介)」

誰しもが一度は読んだことのある名作中の名作「蜘蛛の糸」を読み感じた事は、自分の中にも他人の中にも人を蹴落として自分だけが助かりたいという感情や欲があるということだ。私たちは普段は一枚皮を被り、欲は汚いと扱う。強盗となって人様のものを盗むなんてと批判し、さも自分はそんな事をしないと思っている。
 
そして、もし自身がその状況に追い込まれたら?というのを考えてすらいないだろう。いざ追い込まれたら、例えば家も財産も無くなり路頭に迷い乞食同然になれば私は迷わず盗みにも走るだろう。もし地獄に落ちた時、極楽へ繋がる一本の細い糸が垂れ下がっていたら他人を押しのけてでも縋り、他人を蹴落とすかもしれない。
 
芥川龍之介はここの部分をありありと見せつけた。人のもっと深い欲望の部分を文章で巧みに表現したと思う。私がこの本から得たものは、自分の中にもこんなものが巣食っているという事実を見せつけられそれを知る事が出来たことだ。
 
もちろん普段はそんな事はしないと思いたい。しかし、いざこの様な状況になった時にこの主人公と同じ行動をしてしまうのではないか、という恐ろしさも感じた。本当に怖いと思った。そして、それが他人にも同じ様にあるというのにも恐怖を感じる。
 
しかし、その感情を自分が持っているということを知れたことが良かったと感じている。自分の中にもあると分かるから、ある意味で冷静にもなれる。この他人を蹴落としてでもという感情が湧いた時に、本を思い出しハッとさせられ現実に引き戻してくれるかもしれない。そして、一歩引いた立場から状況を知る事ができ冷静に行動する事ができるかもしれないと思った。考え過ぎなのかもしれないが、でもこの本から得たこの感情は大切にしたいと感じた。
 
本は大切な事を教えてくれるものである。綺麗な事も時には汚い事も様々な主人公の生き方を通して学べるのであると思っている。だから、この蜘蛛の糸の主人公から学び得た事もきっといつか必要になると思っている。以上が、私がこの本から得た事だ。
 
(20代女性)
 
 
 
 

固定ページ: 1 2 3 4

この感想文にコメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


CAPTCHA


シェアする