「沈黙のパレード」の読書感想文①
この話はガリレオシリーズの続編であり、長編小説である。ガリレオシリーズを読んだことがあると分かるが、この話も例によって刑事の草薙が抱える事件を湯川が解決するという話である。
だが、今回の「沈黙のパレード」ではかなり複雑な展開であった。まず、物語の展開的には商店街に住む家族の娘が殺害され、その犯人と思われる人物が捕まる。
その人物は過去にも殺害事件を起こしているが、無罪になった男であった。そして、今回もその男は不起訴となってしまう。だが、その男は数日後殺害され、その犯人がわからないという状況を湯川や草薙、内海などのおなじみのメンバーで解決していくという物語であった。
今回のこの小説は湯川らしく科学の力を使って解明するという話ではなく、人情系の話であった。個人的には科学系の話よりも人情系の話が好きなので今回の小説は物語の登場人物に感情移入して読むことができた。その登場人物も非常に多く、商店街の住人全てが怪しい。
しかし、読み進めるうちになんとなく犯人やその計画がわかってしまう。大体3分の2を読むと男を殺害した犯人や商店街の人とのかかわり、計画など大体わかってしまうためこのあとの展開はどうなるんだろうという感じだった。
最後に湯川が予想外の人物のもとを訪ね、物語の本筋に関わる仮説を唱える。このシーンは非常に驚きが強く、印象に残った。また、ガリレオシリーズの「容疑者Xの献身」でも似たようなことを湯川はしておりその後犯人が自首するという結末だったが、今回は新しい選択肢を与えている。
湯川自身も人間であり、前回の事について悩んでいたり、苦しんでいたりしていたという事を感じる事ができる作品だった。読むと殺害された男は本当にひどい男であり、商店街の人や犯人に感情移入してしまう。
司法の限界や法でさばけない人物をどうすればいいのか考えさせられる作品だった。また、湯川が商店街の人たちと交流したり、ギターを弾くシーンがあるなど、映画で福山雅治さんがやりそうな描写もあり、面白い作品だった。
(20代男性)
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