読書感想文「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(村上春樹)」

村上春樹のことは色々聞いたり見たりしてましたが、実際読んだことが無くKindleを購入したのをきっかけに始めて読んでみようと思い、このタイトルの小説を読みました。本を読んで通して感じたことは結果よく分かりませんでした。主人公のつくるの半生を描いているんだとおもうのですが、良くある話(内容自体は良くあることではないですが)で、仲良し5人グループから自分ひとりが東京に出て、いつの間にか疎遠になっているときに絶縁されてて。自分は東京生まれで東京育ちなので故郷から出るとか、地元の友人と会ってないとかはあまり無いので本当にそうなった感じは体感できませんが、主人公にもう少し人間味あっても良いかと感じてしまいました。どこか斜に構えるなどというレベルではなく、悟りを開いてる感じがあまり共感を得られなかった部分かも知れません。もし自分がそうなったら、と置き換えたら、正直2パターンしか思いつきませんが1つは故郷を捨てた=もう絶縁されたなら寂しいけど仕方ないとおもう、もう1つは本人たちに聞くのも有りですが本当に5人でしか行動してなかったなんてことは現実では有り得なく、それぞれ友人はいるはずでその人に聞いたりしてしまうと思います。その5人にスポット当てた話だとしてもやや現実味が無くスッと取り入れられる話ではありませんでした。ただ、仲良し5人グループで実は誰が誰のことを好きで、また他の誰かは誰かを好きでという甘酸っぱいというか若いころにありがちな恋愛体験は見ていて楽しかったと思います。もう少し5人の関係の深堀をしてある描写があると面白かったしより共感できる部分があったのかなと思いました。あとは時代なのかも知れませんが、レイプされたという描写や自殺したという描写、浮気などの部分は批判されてしまう可能性は有りますが、個人的には実際レイプしたわけではないし、夢の中でエロな体験や現実の浮気などは往々にして起こりうることなので、そういう表現があったことで多少は話が腹落ちとまでは行かないですが読んでよかったと思える内容だったと思いました。

 

(30代男性)

 


 

 

 

この本を読んで、登場人物の心理描写が非常に上手いと感じた。主人公である多崎つくるが、言葉やものに対してどのように感じたか、その時どのような心理状態だったか、また他の登場人物はどのような様子か、どのような雰囲気を漂わせているのか、口調に込められた感情はどのようなものか、人物描写に対するありとあらゆることが生々しく表現されているので、読んでいて今の場面がどのような状況なのかが鮮明に思い描くことができた。更に地の文の描写が非常に上手だったので、登場人物は本当は実在する人物なのではないか、作者は本当にこんな気持ちを抱いたことがあるのではないか、この出来事は実際に体験した出来事なのではないかと疑ってしまうほどだった。最初は時間を見つけて暇つぶしに読んでいたが、読み進めていくうちに主人公の行動や心の動きに引き込まれていって、読み耽るようになった。ただ登場人物の会話に時折出てくる冗談や皮肉、たとえ話で引用されるものの多くが昔のものだったり、芸術に関することが多かったので、イマイチピンとこないことが多かったのが残念だった。また、作中で亡くなった登場人物が過去に取った不可解な行いの動機を主人公が解明しようとするのだが、結局それは解明されることがないまま終わり、更には最後主人公が決心した行いの結果すら描写されないまま物語が終わってしまったのが非常に残念だった。そのせいで読み終わった後には、モヤモヤするようなすっきりとしない気持ちだけが残ってしまった。後の展開を読者の想像に任せたかったのかもしれないが、個人的には物事の全てをハッキリとさせ、解決した状態で物語を終えてほしかった。この本の良かった点と悪かった点を挙げたが、総評としては非常に面白い物語だった。主人公の心の変化や、場面展開、この話がここに繋がってくるのかといった伏線回収など、読んでいて惹き込まれるような魅力が非常に多く、登場人物の心理描写がとても繊細で綺麗な表現が多かったので、読んでいて本当に面白い作品だった。

 

(20代男性)

 

 

 

 

 

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