読書感想文「意味がなければスイングはない(村上春樹)」

メトロノームを探しに行った大阪グランフロント内の島村楽器で見つけた文庫本である。村上春樹の小説はいくつか読んだことがあるが、彼個人についての知識はほとんどなかったので、「ふ~ん、音楽ファンだったんだ」と思いながらパラパラと本をめくってみて、おもしろそうだったので購入した。
 
私自身はジャズも聴くが、どちらかと言えば熱烈なクラシックファンだ。この本はタイトルが、ジャズの有名な曲のタイトル「スイングしなけりゃ意味がない」をもじっているだけあってジャズについての内容が中心だが、私がこの本の購入を決めたのはシューベルトのピアノソナタについて書かれた項があったからである。
 

 
 
ロシアの名ピアニスト、スビャトスラフ・リヒテルの録音に接して以来、私もシューベルトのピアノソナタが大好きで、この著名な作家のどこに自分自身との好みの共通点があるのかを俄然知りたくなったのだ。読んでみると、私が漠然と「好き」と感じていたシューベルトのピアノソナタの魅力と特徴について作家ならではの精巧な筆致で語られていて、なるほどと感じ入った。
 
クラシックについて書かれた項では、ピアニスト、ルドルフ・ゼルキンとアルトゥール・ルビンシュタインの対比について書かれたものに自分の知らなかった興味深いエピソードがあり、とてもおもしろかった。ゼルキンとルビンシュタインの演奏を改めて聴いてみたいと感じた。クラシックファンのための項としては、あとは作曲家クープランについて書かれた項くらいだが、この3項について読むだけでもクラシックファンにとって買って損のない本だと思う。
 
私の知っている名前は他にブルース・スプリングスティーンとスタイン・ゲッツぐらいだったが、1項がさかれているスガシカオなどは若い人にもよく知られた名前なのではないだろうか。知らない演奏家や作曲家、ロック、ジャズに書かれた項も含め、すべてをじっくり味わいつつ読んでいきたいと思うとともに、村上春樹という作家に親しみを感じた。彼の小説でまだ読んでいなかったものも、これを機会にぜひ読んでみたいと思うようになった。
 
(50代女性)
 
 
 
 

意味がなければスイングはない (文春文庫)
文藝春秋 (2015-11-21)
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