「三陸海岸大津波」の読書感想文
この作家の作品は非常に多く読んでいる。この作品は、その中でも非常にインパクトのある作品だった。その理由は、東日本大震災のあったときに、目にしたからである。筆致は非常に冷徹に真実に触れるタッチとなっている。しかし、その中に人間に対する愛情が感じられるのである。そこが不思議に感じた。
特に衝撃を受けたのは、津波が発生する前に様々な怪奇現象が発生するということだった。その歴史が丹念な取材を元に解き明かされていく様は非常に読み応えがあった。昭和に入ってからの三度の津波のこと、それよりも古い時代の大津波のことも掲載されているのである。これは、もはや小説というよりも、記録としての価値のほうが高いのではないか感じるほどである。
ちょうど、大震災の後だっただけに、過去に、同じ場所で、これほど大きな津波が発生しており、多くの被災者が出ているにもかかわらず、教訓が生かされていないということに非常に大きな驚きを感じた。津波というのは、一言で言ってしまいがちだが実際には、非常に多くの種類があることも知った。
一般的に考えられているような、津波の他にも、海面が急激にせり上がっていくような感じのものもあるということも、この小説を通じて知った。他にも、遠隔地で発生した地震が原因の津波が時間をかけて、遠く三陸沖までやってくるということも初めて知った次第である。
いずにしても、津波というものを体系的に知ることが出来たという意味では、非常に大きな意味があったと思っている。三陸沖に住む人はもちろん、日本人であれば、誰もに読んでいただきたい感じる作品である。数々の資料をあたり、また、多くの経験者の証言も掲載し、様々な角度から津波の本当の姿に迫っていこうとする筆者の姿は、非常に大きな感動を受けるものだった。
その後も、プライベートでも非常に多く現地に足を運んでいるからこそ、わかる部分が多いのではないかと感じた。多くの教訓に満ちた内容である。
(40代男性)
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