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読書感想文「奇跡の人 The Miracle Worker(原田マハ)」

「奇跡の人 The Miracle Worker」の読書感想文

この本の最初のページに、ヘレン・ケラーの有名な言葉が記されている。本を購入する前から、「盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女」が登場することは知っていた。読み進めていくうちに、ヘレン・ケラーの日本版であることに気づくことになる。

まず読み始めて感じた印象は、とにかく読みやすい。原田マハの作品は恥ずかしながら初めて手にしたが、テンポが良くて読みやすく、登場人物全てに個性があり、人物像が主人公の安の気持ちを通じてよく伝わってくる。

障害を負った少女、れんに初めて会ったときに見た光。人の印象を光に例えることで、れんがどれほど強烈な印象を与える人間かが伝わってきた。舞台は戦後まもない日本。悲しいほどに、障害への差別意識が蔓延している時代。

そしてまた、女性への差別意識、当時の日本の教育制度の低さが、安やれんをより苦しめ、私たち読者にはより強いインパクトを残すものに仕上がっている。そのインパクトは、胸がぎゅっと苦しくなり気が付くと涙が出ているようなものだった。

安はどうしてこんなにも卑屈にならずにいられるのか。留学先で、日本人であり女である故にたくさんの差別を経験してきて尚、安は前を向いて常に未来を見据えている。それは、安自身が抱えている弱視というハンデがあるからこそなのではないかと感じた。

決して諦めない心の強さは、安自身が自分を諦めたくないと誓ったから出てくる強さなのだと思う。そして、両親との愛もこの物語のテーマとなっている。れんの父はれんを人間として扱っていなかった。

れんの母はれんを心から愛していたが、れんが安の教育により人らしく成長を遂げると可愛さ故にただただ甘やかしてしまう。親は子を選べないし、子は親を選べない。安の「れんを人形にするつもりはない」と言った言葉がとても印象的だった。

子どもは、親のために生まれたわけではない。親にとって家にとって、都合の良い存在でいるために生まれてきたわけではない。成長には、教育が必要であり、そして愛が必要であることに気づかせてもらえるそんな作品だった。

(20代女性)

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