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読書感想文「赤い指(東野圭吾)」

「赤い指」の読書感想文①

この物語は本当に面白く、読み応えがある。一見すると、よくあるミステリーのようであるが、その裏には高齢化社会や認知症、若者の思考の歪み、家族の関わりの希薄化など、現代の日本が抱える様々な問題が潜んでいると感じた。

そして数々の謎や、些細な綻びに目を向ける加賀刑事の洞察力には脱帽する。加賀刑事の立場から「早く犯人に行き着いてほしい、証拠を掴んで欲しい」と思う一方で、犯人の立場から「見つかるかもしれない、バレるかもしれない」と思う気持ちもあり、様々な視点からハラハラドキドキして楽しめる作品である。

題名の「赤い指」の意味が分かった時、なんともいえない切ないようなもどかしい感情に包まれた。そして最後には、全く考えもしなかったオチが用意されており、その事実に触れた時、震えるような驚きが訪れた。

ラストの加賀刑事vs犯人の謎解きのシーンは本当に手に汗握る緊迫したものであった。この家族はこれからどうなっていくんだろうと、今後の彼等のことも気になるようなラストであった。

そして「もしかしたら自分もこの犯人のようになるかもしれない」とも思ってしまうような、読者に突き刺さり考えさせられる内容となっている。また、加賀刑事と父の関わりも少しだけ出てくるのだが、私はその関係性に涙した。

この僅かなサイドストーリーの方が本編か?と思いたくなるほどの感動と安心感をくれる役割を果たしている。決して短くはない物語だが、一気に読んでしまった。それくらい面白く、続きが気になって仕方ない仕上がりであった。

私は、この本を読んで東野圭吾の作品を知った。その後も色々な作品を読んだが、未だに「赤い指」が一番好きであり、これを超える作品はないのではないかとさえ思っている。

どんでん返しが好きな人は絶対に読むべき作品だ。そして、たとえオチが分かっていたとしても、また何度も読み返したくなるような物語だ。

(20代女性)

「赤い指」の読書感想文②

大人気の加賀恭一郎シリーズの中でも、一番ミステリアスで不可解な事件を解決する読み応えのあるストーリーだった。これを読んでいると、連日ニュースになっている、札幌で発生した頭部切り取り事件を連想せざるを得ない。

幸せに平凡な生活を送る家族の元に突如として発生した少女の遺体。しかも、庭先に放置されたいという不可解な出来事に父親と母親は引きこもりの息子の仕業と疑いたくもない親心を抱きながらも、それが事実であったと知った時に息子を守るという思考に入ってしまったことは、暗くて長いゴールの見えないトンネルに一家が迷い込んでしまったようだ。

このシーンはストーリーの中でも一番読み応えがあり、また、何故そのような道を選択してしまったのかと思うくらい、没入感が凄まじかった。そのトリックを解決する加賀恭一郎を中心とする警察チームの捜査も近所への聞き込みから周辺調査まで捜査員が一体となって執念の捜査を展開する様は、自分自身が犯人だったら日に日に追い込まれていき、逮捕されている日が刻一刻と近づく恐怖心が心の中に読んでいて芽生えた。

父親と母親はそのような苦しい状況の中でも息子を守るために、認知症の祖母を犯人に仕立てるなどの手段を取るが、実は認知症を患っていなかった祖母が最後まで、これも息子を守るため認知症であるフリを最後まで貫き通して警察に逮捕一歩手前でいく姿は読んでいて心の中に悲しさと子を想う親の強い気持ちに感動する2つの感情が生まれた。

そして、最後の最後に家族の秘密を解き明かす加賀恭一郎の推理は見事なものであり、多くのミステリー小説の中でも群を抜いて驚嘆と感動がクライマックスに集結した小説であったことは枚挙にいとまない。

札幌の事件をニュースで知って、事件内容がこの小説「赤い指」のストーリーや家族観に類似していると感じざるを得ない衝撃を受けたこの夏の一日であった。どこの家庭でも起こりうるかもしれないという可能性を突き付けられた小説であった。

(40代男性)

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