読書感想文「レインツリーの国(有川浩)」
人間はいつも自分が中心で世界が動いている。当たり前なことだが自分が一番かわいい。しかし周りのことをよく考えること、相手がどんなことを思っているのか想像してみること、客観的に物事を見ることはどれほど大事だろうか。
それができるひとは世の中に少ないのかなと思う。でもそれができる人が人との関わりや生き方などを大事にできる人だと思う。そんなことを思わせてくれた一冊だ。もし自分の周りの人で耳が悪い人がいたら私はどうするのだろう、私はその人の力になることができるかなど色々と、考えさせられる本だった。
また、それに恋心が描かれていたのでとても胸が熱くなる物語だ。人間は言葉で伝えないと伝わらないことなんてごまんとある。私はどちらかというと、言葉にしなくても相手の気持ちがある程度わかると思っていた。でもそれは自分の中でも解釈であって、実際はどうなのかはやはり言葉にしないとわからない。
相手の行動が何かおかしいと思った時、色々な視点から物事を見る必要がある。自分の感情や思っていることだけでは不十分だと感じることができた。相手を思う気持ちはこれほどにまで大事だと感じさせせてくれるような物語だ。
私はもともと本を読むのが好きではなかった。しかし友達にこれはいいよ!と勧められ、通学の電車の中で読んでみた。本自体も薄いので非常に読みやすい。本が嫌いな人でも気軽に読むことができるような作品だ。電車の中で読んでいたが、続きが気になってどんどん読み進めていけた。
また感動するので電車では、読まないほうがいい。今は映画化もしていて大変話題になっている。でも是非単行本で読んでほしい一冊だ。本当に本が苦手な人にもオススメだ。本当にすぐに読み終わってしまうので時間がない方にもおすすめだ。
また小さいので持ち運びも抜群だ。男の子の気持ちも女の子の気持ちもどっちからの視点でも読んでほしい。これを読めば絶対にキュンキュンすること間違いない。
(20代女性)
とにかくずっと泣きながら読んでいた。ひとみと伸のぶつかり合いがまっすぐすぎて、ずっと心がきつく縛られているような感じで読み進めていた。伸の、明るくて粘り強くひとみに接してくれるところが本当に好きだ。
自分自身も大切な人にわがままを言ってしまったり、意地を張ってしまった時に、あんな風に包み込んでもらえたらものすごい安心感があるし、頼ってしまうし、実はそうしてほしいと思いながらやっているからだ。でもキレてしまう部分もあって、わたしが伸にキレられたかのような気分になって「もっと聞いてよ」と涙が止まらない。
だからこそ、ひとみの側にものすごく共感して、気持ちがずっとぐらぐら揺れていた。ただただまっすぐぶつかってくる伸が逆に嫌で、「さすがにこれは嫌な言い方!」とわたしも思った部分でひとみも怒っていた。
それから、ヤキモチを妬く場面もとっても共感してしまう。何でヤキモチを妬いているかなど、具体的に言いたいはずもないのに聞いてくるから、もっとイライラしてしまうのだ。言葉にするとそれがとてもバカらしくて、自分がそれにヤキモチを妬いた事自体がとても恥ずかしいと思うからだ。
ただ、こうして主観になりつつ客観視しながら読んでいると、自分自身が普段妬いているヤキモチは他人から見ると本当になんて事ない事ばかりなのだと思い知らされる。正直、聴覚障害の方と直接接した事がないので想像の範囲でしかなかった、応酬を見事に伸がやってのけてくれた。そして見事にひとみに打ち砕かれていた。
多分、理解のない健常者が思う定型のやりとりは本当に想像の範囲でしかないのだ。こちらの理想の返事が返ってこない事に戸惑う事自体が、人と人のやりとりとしておかしいのだけど、それでも聖人のような受け答えを期待してしまっているのだと気付いた。それに気付いた時の感情の揺れもものすごくて涙が止まらなかったのだと思う。
障害者とか健常者と言ってしまうと、それぞれの側にいる人間として向かい合ってしまう気がするけど、「耳が聞こえない」という事がその人の特徴のひとつとしてみていれば、別にみんな同じ側の人間で。その特徴があるからと言って、頑固だったり、性格が良かったり悪かったりする、なんて人間性の部分は何も分類できないんだ。気付きと、共感のシンクロ率がものすごい物語だった。
(20代女性)
この本で、私の中の障害者に対する考えや、恋というものの見方が変わった。私が有川浩さんのレインツリーの国を読んだきっかけは、レインツリーの国が映画化され映画を見に行くことができなかったのでどんなお話か気になったからだ。
初めて読んだ印象は、1度読んだだけでは全てを理解するのが難しいと思った。私の周りに耳に障害がある方がいないので話の中の女の子の気持ちを理解するのが難しいと思った。主人公の男の子の障害のことを理解してはいるのに、なかなか恋がうまくいかないところはすごく焦ったく苦しい気持ちになった。
お互いが思い合っているのに、なかなか前に進めない辛さに共感した。障害者と健常者の恋はうまくいかないとよく聞くが、この小説を読んでそんなことはないと分かった。思い合っていればなんでも乗り越えられるとは思わないが、思い合っているからこそ乗り越えられるものもたくさんあるんだなと分かって少し温かい気持ちになった。
メールでずっとやり取りをしていて、文字にすることで伝わることもあるとしみじみ思った。私も顔を見たことがない人と連絡を取っていた経験があるが、よほど会いたいという気持ちがないと実際に踏み出せないものだと思う。私の場合は会って見たかったものの勇気が出ずにそのままメール友達で終わってしまった。
2人は、会ってケンカもしたけどデートを重ね仲良くなってきている様子を読んでずっと見守り続けたいと思った。私にも会ってみようと言える勇気が欲しかった。何事も自分から積極的にいかなければならないと感じ後悔したがこれも良い経験だったと最近は思えるようになった。
主人公が女の子を美容院に連れて行き、完成したヘアスタイルを褒めてあげているところが微笑ましかった。やぼったさがなくなったでしょ?と得意げな彼女を見て、補聴器を隠さずに前を向いてくれて私自身もなぜかとても嬉しい気持ちになった。この2人ならどこまでもいけるんじゃないかと思った。
(10代女性)
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