読書感想文「蛇にピアス(金原ひとみ)」

つい最近も、20代前半の義妹が義母に「まったく、バカなことばかりして」「いったい何を考えてることやら」と言われた。私は義母の愚痴を延々と聞かされるばかりで義妹をフォローすることができなかったが、この作品に出てくるルイという女の子もきっとそうだろう。
 
痛いことを心地よく感じたり身体に穴を開けて改造したりするところは心身ともに健康な人からしたら理解不能なことで、私が表現できなかった若者の矛盾した行動をうまく伝えていたと思う。やはりそういう複雑な心境を表現するためには小説ほどの文字数が必要。一言で義母をうならせることは難しい。
 
初めてこの本を読んだときの私は、どうしてこれが話題になるのかわからなかった。きっとその時の私は、そんな本を読むくらい気持ちに余裕があったのだと思う。しかし、ふと思い出す、ところどころの話の内容。アマが出かけようとしているのにシバのことで頭がいっぱいなルイ。
 

 
 
アマが行方不明になってから、焦るように舌を拡張していくルイ。そして、最後の、「もう大丈夫」という言葉。先述した義妹とルイとの姿が重なる。日常生活に満ち足りている人からはわかるまい。寂しいとか、そんな簡単な言葉では表現できないような、若者の、虚無感、破滅志向、自虐行為。別に、死にたいわけではない。
 
自分が嫌いなわけでもない。ただ、そういう行為をしてしまうときがあるのには、よく共感できた。では、そんな人に周りはどう接すればいいのだろうか。義母は、義妹のことを理解しようと努めているようだが、果たしてそれで良いのだろうか。
 
この話は、ルイとアマ、シバの三人しか登場してこない。そしてルイは、アマを亡くし、シバがアマを殺したことに気づきながらも「大丈夫」と立ち直る。誰かに心を開いたわけでもない。ルイに良き理解者がいるわけでもない。
 
でも、きっと大丈夫なのだと思う。義母には、娘のことをそんなに貶さないであげてほしい。とはいえ、ルイや義妹の理解不能とされる行動は貶すべきものではないが、かといって私には憧れるものではない。若さゆえの行動であるからなのだと思う。
 
(30代女性)
 
 
 
 

蛇にピアス (集英社文庫)
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