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読書感想文「ラブコメ今昔(有川浩)」

「ラブコメ今昔」の読書感想文①

元々、有川さんの小説は読みやすくて好きだったのでこちらの小説も同じく有川さん好きな友人にすすめられて読んでみた。自衛隊の中で働く方の恋愛物語のオムニバスで、その年代や恋する人のキャラクターも様々である。

通勤中に読むものとしては、オムニバスの短編だと一日で一編を読み終えることが出来るので非常に都合が良かった。1編の中でも起承転結がきちんととれていて、その中でも、どうなってしまうのか展開が読めない事にドキドキわくわくさせてくれる小説だった。

しいていうなら、自衛隊があまり得意ではなく馴染みがない私にとって、その階級を毎回つけるとキャラクターの名前が最初はまどろっこくて、全然頭に入ってこないという難点はあったが、それも帳消しになるくらい面白かった。

また、他の有川さんの自衛隊の作品に比べて、自衛隊についての説明が簡素化されているので、初心者でも分かりやすかったのがよかった。他の職業とはちょっと違う、特殊な自衛隊とそれを支える女性の話が多く、通常の恋愛とは違い一筋縄ではいかない事もあるんだなと思った。

それなのに、短編小説ならではだからだろうか、もどかしく思うことは少なく展開が早いので、その展開の波にうまくのれて、続きが気になりページが次々とめくってしまう。それぞれの不器用な主人公たちも愛おしく、ついつい応援したくなってしまうキャラクターばかりだった。

私が特に気に入った本は、自衛隊の部署でもブルーインパルスという女性にモテル部隊に夫を持つ妻の話だ。ささいなことがきっかけで、人の心とはいとも容易く心もとなくなり、疑心暗鬼になってしまう。

だからこそ、言葉や態度は大切なのであるということを実感できる。読んだ後に、私も主人にいつもありがとうという感謝の気持ちを伝えたくなり(実際に伝えて驚かれたが)、人を素直にさせる要素もこの小説には入っているのかもしれない。

自衛隊ものは苦手だったはずなのに、ちょっと自衛隊ってかっこいいかもと読み終わった後に好きになってはまりそうになる自分がいることに驚いた。

(30代女性)

「ラブコメ今昔」の読書感想文②

恋愛はいくつになっても心の潤いになると思っている。しかし既婚者である中年の私は恋する相手はずっと夫のままであり、波乱万丈の恋のかけひきのようなものは遠い昔の話となってしまった。

だからこそ私は時々恋愛小説を読むようにしている。疑似恋愛が私につかの間のときめきを与えてくれるのだ。有川浩の「ラブコメ今昔」はタイトルからしておもいっきり恋愛小説だとわかるものであり、手に取る時に少し気恥ずかしい気持ちになったほどだ。

開いてみるとタイトルが6つ並んでおり、内容がオムニバス形式になっていた。その1作目が「ラブコメ今昔」という話だった。

6作品全体を通して自衛隊員の恋愛話なのだが、「ラブコメ今昔」は今村という中年の自衛官とその奥さんとのなれそめを軸とした物語に私はすぐにひきこまれた。

堅物で仕事熱心でちょっと怒りっぽい今村という上官と、新人記者である矢部という元気な女の子のやりとりがユーモラスでクスリと笑わせられた。

イマドキの女の子といった感じの矢部が新聞のコラムに自衛官の恋愛について書きたいから今村のなれそめを聞かせてほしいと無茶なお願いをする設定に、私は最初のうち「こんな設定ある?」と少しばかりあきれたのだが、この軽快な登場人物のやりとりを読んでいくうちにだんだんと私の心の中になじんでいった。

今村が奥さんとの出会いを思い返すのと同時に、私も自分のなれそめをふりかえるようになっていた。今村の話を聞く矢部もまた、恋をしていたことがわかった。矢部が個人的に自衛官同志の恋愛と結婚について今村が意見をきくシーンが私にとってはシリアスで印象的だった。

自衛官同志が結婚して子供ができた場合、有事の際に子供をどうするのかまでしっかり考えているのかということに言及する今村に矢部は小手先の案を提示してみせる。しかしそのような案は命をかける仕事の前には通用しないことを理解し、矢部は今村に敬礼してみせた。

私はそんな矢部に心打たれた。私は矢部を元気がとりえの空気が読めないイマドキ女子だと感じていたが、真剣に恋する女の子であり、命をかけて職務をまっとうしたいと考える芯のある自衛官だということがわかったからだ。

他にも自衛官の恋愛話が続くが、私は最後に矢部のなれそめ話でしめくくられたことで満足してこの本を閉じることができた。

(40代女性)

「ラブコメ今昔」の読書感想文③

ラブコメ今昔は「自衛隊内の恋愛」をテーマにした恋愛小説であり、自衛隊ならではの恋愛事情と純愛が交じり合い、面白さと胸がキュンと来るような気持ちが同時に感じられた一冊である。

物語は短編集の集まりになっており、一例を挙げると、上司からのお見合いで結婚した熟年夫婦の話、自衛隊は国防を守る仕事のため「帰ってこられない」可能性を相手に理解してもらう話、自衛隊では転勤が多いことから寂しさとどう向き合っていくかを考える話、などがある。

この「自衛隊」ならではの部分が、障害でもあり、乗り越えることでより絆が深められたりと、自衛隊部分が物語に深く結びつくのが、この本の上手な所であると感じた。特に印象に残った話は、「防衛大学校を卒業した女性自衛官」の恋愛について書かれた話である。

自衛隊では、防衛大学校を卒業した時点で、年上の部下を多く持つ特徴を持っている。また、男女比率は、男性のほうが圧倒的に多い。その中で、この女性自衛官は「年上の部下」に恋愛感情を持つ。

しかし、言い換えると「上司で年下」であり、この部分が「好きと言いたくても言えないもどかしさ」に繋がる。これが読んでいて胸が苦しくなる一方で次の展開が気になり、読むペースが無意識に早くなった。

この本では「自衛隊は、自分に馴染みのない職業」と考える方のために、自衛隊の小ネタや豆知識などを散りばめられており、それらには驚き・面白さ・意外さなどを感じさせられた。個人的に驚いたのは、自衛隊での携帯食料、「沢庵の缶詰」である。

通常、沢庵は輪切りが一般的であるが、輪切りでなく「縦切り」になっており、しかも塩気がとても強いとの事で、携帯食料ならではの事情に大変驚いた。

読後の感想として、恋愛小説を読んだ胸が温まる気持ちとともに、例え自衛官が自分に馴染みのない職業だったとしても、「恋愛小説」というジャンルになることで、自衛隊への親近感・そして改めて国防を担ってくれていることを感じることができた。

(30代男性)

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