「阪急電車」の読書感想文①
普段使用している電車という場所は、公の場であるにも関わらず何故か不思議なことにプライベートな空間。だから電車に乗るときは、私はいつも携帯電話か読書をしている。もちろん、乗り合わせている他者には見向きもしていない。
だけどそんな風にして忘れてしまっている、乗り合わせている人、一人一人にはそれぞれ人生があったんだということに改めて気付かされた。読み始めは、ああ、こんな人いるいる!なんて思い、少しだけ親近感を湧かせながら読んでいたが、しだいに、こんな小さな車両の中の出会いや縁を大切にするということで、こんなにも人生が変わるんだと教えられたような気分になった。
人は他者のたった一言の言葉や少しの行動による影響で人生が180度変わる。まさに電車こそ、そんな風に他者の影響を沢山受けることができる場所だったじゃないかと気付かされた。そして、私はそんな大切な出会いの場をこれまで無駄にしてきてしまったんだなと少し反省した。
この本を読んでから、電車の中で人を見ながらその人の生活を想像することが多くなった。ああ、この人はこの後家族でご飯を食べるんだなとか、この人は今日何かブルーなことがあったんだなとか。それから、その食事の中での会話やブルーな出来事の原因まで想像するともっと面白い。そうしているうちに不思議と、あ、この前も乗ってた人だ!なんて新しい発見もしたりする。
これはこの本を読まなければ気付かなかったことだ。なんとなく心が温かくなり、自分という人間が大きくなったような気がした。また、この本を読んでからは途中下車もするようになった。そして、その町一つ一つの温かさ、あるいは冷たさや忙しさを感じるようになった。目的もなく途中下車なんて今までしたことはなかったけど、ただ駅の看板を見ただけでその駅の人の人柄や生活も見える気がする。
そしてまた、人ってこんなにも温かいんだなと感じることができる。この阪急電車は、まさに人の温かさを沢山教えてくれる作品だ。
(20代女性)
ㄟ( ▔∀▔ )ㄏイミフ