「ハケンアニメ」の読書感想文
この本の面白さは一般にあまり知られていないアニメ業界の内情を赤裸々に小説化している所だ。1つの作品にどれだけの人と時間を割いているかという事を知った時、大変な仕事だと心から思えた。
そして、女性プロデューサー、女性監督、女性アニメーターと登場人物が女性メインの視点で書かれている所が更に興味を引いた。辻村深月さんの作品は「凍りのくじら」「ツナグ」を読んでいたが、今回はそれらの作品とは全く違う軽快なタッチで物語が語られていく。
そして、軽快なタッチで描かれる世界にぐいぐいと引き込まれてしまう。物語は四章立てになっていて章ごとに人物の視点が変わる。最初の章は女性プロデューサー有科香屋子だ。
仕事熱心で、恋愛に疎い香屋子が憧れのアニメ監督・王子千晴と『運命戦線リデルライト』という新作のアニメを作る事になる。しかし、制作途中で王子が行方不明になってしまうのだ。会社からは監督を変更しろと言われるが、香屋子は王子は帰って来るのを待ち続ける。
その姿が本当にいじらしい。胃を痛めながら、過大なストレスを抱えながら香屋子は待ち続ける。プロデューサーって耐える仕事なんだと思った。
特に香屋子はスタッフを信じるタイプのプロデューサーだ。香屋子がスタッフを信じる姿に良い作品を世に送り出したい、という熱い思いを感じた。次の章では香屋子と違い、スタッフの名前をあまり覚えない男性プロデューサーが登場する。
この男性プロデューサーに最初は反感を覚えながら読み進めたが、後半はやっぱり良い作品を世に送り出したいという気持ちは同じなんだと感じる部分がいくつも出てくる。
この小説を読んでいるとアニメに関わる人たちの作品へ対する熱い思いをひしひしと感じることができる。アニメ制作に対する熱意をテーマに何事にも熱意をもって取り組むことの大切さを教えられる内容である。
(30代女性)
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