読書感想文「燃えよ剣(司馬遼太郎)」

土方歳三。歴史の授業で名前を聞いたことがある、という程度の知識しか持ち合わせていなかった私が、この本を読んですっかり、土方歳三に恋してしまった。この本を手に取ったのはほんの些細なことで、「好きな人の、好きを知りたい。」という気持ちからだ。あるオリンピック選手がこの本を紹介していた。その選手が気になっていた私は、すぐに本を買った。
 
本好きではあるが、歴史小説は苦手。司馬遼太郎という作家を知ってはいたが、一生読むことはないと思っていた。そんな自分が歴史小説を読むなんて、なんて単純。おそるべし、好きの力。歴史が苦手な私に、もちろん新選組の知識なんてほとんどない。それでも、すいすいと読み進められる。
 

 
 
上巻。とにかく土方歳三がかっこいい。武士になりたい、そのためには新選組を強くしていく必要があって、そのためには…。目標があり、そのためにはどうすれば良いのか。誰よりも冷静に、誰よりも冷血に鬼のように、考え、行動した。目標があると、人はここまで強くなれるのか、と感心せずにはいられない。
 
今の私には、目標がない。あぁ、なんてことだ。私が気になるオリンピック選手もまた、目標に向かって日々頑張っている一人。そうか、自分に無いものに惹かれているのだな。誰よりも新選組を強くすることを考えていて、鬼の副総長と恐れられていた土方歳三。その中で見せる、沖田総司とのやり取り。これまた女子のハートをつかむ。
 
いわゆるギャップというやつ。鬼とまで恐れられた土方歳三だが、下手な俳句を読んだり、沖田総司にかまわれたり。なんてかわいいんだ。上巻ですでに、私は土方歳三に恋した。とにかく強い男。その中に少し、可愛らしさをもつ男。現実にはなかなかいない、こんないい男。さー、これからどんどん新選組が強くなるぞ!と期待して読んだ下巻。
 
雲行きがあやしい。とにかく強い土方歳三が、全く勝てない。負ける。負ける。負けても負けても、戦い続ける土方歳三に、心打たれる。切ない。とにかく切ない。私の恋心が、もう、胸が痛い。土方歳三に恋する女は私だけじゃなかったらしく、お雪という女性が出てくる。彼女は土方歳三に愛された女だ。
 
二人のやり取りがまた、切ない。お雪に少し嫉妬心を抱く。二人が過ごした束の間の休息、二人の想い、別れの時、残されたお雪。とにかく切ない。鬼の副総長だった土方歳三。新選組を失い、大切な仲間と別れ、なおも一緒に戦う仲間を戦いから退かせ、最後の方はもう一人ぼっちだったけど、それでもとにかく戦いきった土方歳三。
 
自分の信念というか本能というか、それに従い生き抜く土方歳三の姿に胸が熱くなる。私も少しは土方歳三を見習おう。人の意見や人の目に左右され、ブレブレな自分。自分の信じるものを、信じてあげよう。先人達から学ぶことは多い、と改めて気づく。そうか、歴史小説は歴史だけじゃなく、偉大なる先人達の生き方を学べるんだなと、新しい発見。
 
好きな人の好きを知りたいという、やや不純な動機で読んだこの本。今じゃおそらく、そのオリンピック選手よりも、何倍も土方歳三の方が好きで、新選組関連の本やテレビなんかを見つけては、読んだり見たりするようになった。私の興味が広がった。それから、この本を通して新しく歴史好きな友達ができた。
 
彼女は新選組のことはもちろん、戦国時代にも詳しくて、ちんぷんかんぷんな私にいろいろと教えてくれる。いつか一緒に新選組所縁の地巡りをしようと計画中である。楽しみが増えたのは、この本のおかげだ。彼女は土方歳三派ではなく、近藤勇派のようで、そこはちょっと残念だなと思うのである。
 
(30代女性)
 
 
 
 

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