読書感想文「歴史を紀行する(司馬遼太郎)」

この書物は長年人気作家として常に上位に位置してる司馬遼太郎氏の日本の県民性を歴史的・地理的な観点から紐解いた紀行随筆である。とり上げられた地域は高知から始まり大阪で終わる12府県である。司馬良太郎氏は独自の司馬史観で膨大な小説を著わしており幕末ものから戦国もの、英雄伝と幅広いジャンルにわたっている。

 

そういった歴史の中に登場する人物の気質、性格、思考法は県民性として見るとき歴史的・風土的な背景が大きく作用しているというものである。この随筆では高知以下12府県がとりあげられているが特に興味深いところを以下記述したい。

 

 

 

高知人の特徴は議論好きとしている。高知は現在考えられている以上に日本の共通文化から隔絶されていた。四国山脈が巨大な隔壁となっていたからである。それが原因で土佐弁が純粋な形で残った。そして土佐弁は江戸弁、上方弁より正しいに言語であった。

 

そういったことが土佐人の議論好き、弁護士が多いこと、自由民権運動がさかんであったこと等につながっていくのである。高等裁判所が高知にあるのも頷けるわけである。滋賀すなわち近江人の特徴は経済観念に秀でてるととらえている。近江人が商才に長けているのは帰化人の末裔だからとしている。

 

石田光成が商業・経済の実務能力に優れていたのも彼が近江出身だからというわけである。また、戦前は県立八幡商業、旧制彦根高商の卒業生が優遇されたのも近江人の経済感覚が優れていあからだという。佐賀人の特徴は潔癖さだとする。佐賀は藩主鍋島氏が近代的な教育行政と機関をつくり他の三百諸藩がねむったも同然の時期に藩を近代化していった。

 

そういった勉学好きが潔癖な性格を生み終戦直後東京地裁判事山口良忠氏の闇米を買わず餓死したことにもつながっていくわけである。また大隈重信、江藤新平といった遵法精神の強い志士を生み、幸徳秋水など反体制運動家を輩出したのもこう言ったことが起因している。以上3県のみを概括したがあとは本を手に取って自分で読まれるとよい。非常にためになる本である。

 

(60代女性)

 

 

 

 

歴史を紀行する (文春文庫)
文藝春秋 (2016-05-13)
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