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読書感想文「海賊とよばれた男(百田尚樹)」

読書感想文「海賊とよばれた男(百田尚樹)」

「海賊とよばれた男」の読書感想文①

「海賊と呼ばれた男」…と初めて聞いたとき、特にピンと来なかったのが正直な印象だ。それが、今では知らない日本人はいないだろうというくらいの大企業である「出光興産」の創業者がモデルであると聞いて「なぜ海賊だろう?」と興味を持ったのがきっかけで読み始めた。
 
そして、読み進んでいくうちに興味本位な気持ちがどこかへ吹っ飛んでしまうほど、この主人公に惹かれてゆく。まず、読み始めて数ページでこの主人公を構成している骨格のようなものを感じることができる。終戦の2日後、焼け野原の東京に残った国岡商店の大会議室で社長の国岡轍造は社員たちに向けてこう言う。
 
「愚痴をやめよ」「日本には三千年の歴史がある。戦争に負けたからといって、大国民の誇りを失ってはならない。すべてを失おうとも、日本人がいる限りこの国は必ずや再び立ち上がる時が来る」「ただちに建設にかかれ」
 
まず、これを言えるのは、社長と社員の間に、本当の意味で信頼関係が構築されている必要がある。終戦のたった2日後だ。すべての日本人が絶望に打ちひしがれてる時のことだ。読んでいる私は、戦後の日本が驚異的な復興と成長を成し遂げ、現在に至ることを歴史として知っているが、当事者の彼らにはそんな未来の日本を想像できる余裕はないだろう。
 
悲しみと絶望の中にある彼らに「愚痴をやめよ」「ただちに建設にとりかかれ」という社長と、それを聞いて背筋を伸ばす社員たち。一体、この会社はどんな会社なのだろう?一体、この社長はどんな社長なのだろう?そう思いながら読み進んでゆき、最終的にはこの主人公から様々なことを学ぶことになる。
 
そして自らの考えや生き方にエッセンスとして取り入れることのできる作品が私にとっての「海賊とよばれた男」である。ちなみに、なぜこの主人公が「海賊」と呼ばれたのかは、第二章で判明する。轍造が、人の道として大切なことを理解している人間であると同時に、人並み外れた行動力と機転の良さを持ち合わせているというエピソードとなっている。
 
人間は、自分以外の何かのため、誰かのために生きようとした時、想像以上の潜在能力を発揮できる生きものであるのかもしれない。そんなことを考えさせられる。国とは?会社とは?働くということとは?多くの人がこの作品を読んで、考えてみるきっかけになったと思う。
 
(40代女性)

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