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読書感想文「うつくしい人(西加奈子)」

「うつくしい人」の読書感想文

この本を手に取ったきっかけは、ただ単に西加奈子のファンだったからだけではない。なかなか自分の生活が上手くいかず、何か本でも読んで気分を紛らわせようと思ったからだ。何の気なしに手に取った本だったが、まさに今の自分にピッタリの本でビックリした。
 
この本の主人公は、仕事で上手くいかないことがあって職場で泣いてしまった。そのことがきっかけで会社を辞めてしまう。そして、ある島に旅に出る。そこで出会った外国人とバーテンダーとの関わりで少しずつ本当の自分を取り戻していく、という内容だ。
 
主人公のわだかまりには、姉の存在があったのである。姉は、ずっと引きこもっていて社会に出たことがない。それについて主人公は、馬鹿にして姉のようになりたくないからと姉の人生とは逆をいこうと努力していた。それが、主人公の負担になり疲れてしまっていたのだ。
 
本当は姉が主人公のことを一番理解していたし、主人公も姉に認められたいという気持ちが本当はあったということを理解したときに、自分のわだかまりが溶けていくということが、自分の中では心に残った。 
 
仕事で上手くいかないことや、それがきっかけで仕事を辞めてしまうことも普通にあり得ることであるし、島に一人旅に出たくなるのも通常の感覚だと思う。その通常の感情を上手く文章に表現して、読者を引き込んでいるところが、私がこの本を好きな理由だ。
 
一人旅は自分を見つめなおすのに良い機会であるし、そこでの出会いが自分に化学反応を起こして変化させることも往々にしてあることだ。そんないわゆる「良くある話」をいかに物語にして、読者の共感を得るかは作者の技量にかかっているし、それが抜群にうまいのが西加奈子だと思う。
 
物語の途中で、ホテルの図書室で島で出会った外国人とバーテンダーと3人で、本を探すシーンがあるのだが、そこでも姉を想い自分を探す描写がある。そこで、3人それぞれが自分を見つめなおして、新たに出発するという感じがして、私の中では一番好きなシーンである。
 
(20代女性)

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