読書感想文「花ざかりの森・憂国(三島由紀夫)」

三島由紀夫の短編集、花ざかりの森・憂国を読んだ。これは、三島由紀夫本人が選んだ厳選集。さまざまな短編が収納されているこの一冊は、三島由紀夫を読んだことがないひとにもぜひオススメしたいと思った。

 

中でも、詩を書く少年がよかった。「君にはまだわからないよ」という年上の人からのこの一言は10代の少年の自尊心を傷つけ、それにより少年の心は冷たくなり、復讐を企てたとするところ。心の機微を鋭く描写されているところが好ましく思った。自尊心をテーマにした文学作品が多数ある。

 

文豪と呼ばれる作家たちが描く作品の中に、とく扱われているテーマだ。学校の教科書にも乗っている中島敦の山月記や、ドストエフスキーの地下室の手記なんかもそうだった。どうして、自尊心をテーマにするのだろうか。自尊心はほとんど誰にでもあり、若ければ若いほど、強い感情なような気がする。

 

そしてこの強い気持ちに邪魔されて思いがけない道を歩むこととなり、それによって自分自身の過ちに気づく、というものが多い。私はこれらの作品を読むといつも自尊心、もしくはプライドというものは、なくていいものだと思う。むしろ邪魔になっている気がする。

 

かっこつけたり、誰かよりも上にみられたいなどという自惚れた感覚は、あっても何もいいことがないし、そもそも人と比べるようなものでもないのだなぁと思う。こうしてたくさんの作家たちが作品の中に記しているように、自分も無駄なことなどには頭を使わずに、山ほどある自分のやるべき課題に集中して行くべきだ。

 

もう一つは題名にもなっている憂国という短編。これは、全くもって想像をしていなかった展開に戸惑いながらも一気に読んでしまった。

 

身体中が引き裂かれそうな、刺されるにも似た感覚が自分にも移ってきそうな作品だった。時代の流れをも感じた。その当時の、今にはもはやない習慣・独特とさえ思える価値観にも時代の流れを感じた。そして作者ともどこか通ずるものがあったのだろうかと読み終えた後に考えた。

 

(20代女性)

 

 

 

花ざかりの森・憂国

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