読書感想文「奥様はクレイジーフルーツ(柚木麻子)」

図書館で作者名だけを見て借りた本だったが、読み始めた時は、柚木さんの小説は好きだけど、この話は途中で読むのを辞めてしまうかもしれないと思った。題名にフルーツとついているだけあって、章題にも「西瓜のわれめ」、「ピオーネで眠れない」など、フルーツの名前が使われているので、お洒落さを期待しつつ、どんなストーリーなのかなと思った。

 

主人公の30代の主婦がセックスレスに悩んで空回りをしているという内容だったので、飽きそうな気がしてしまったのだ。主人公のキャラクターは猪突猛進で少しズレているので深刻さもなく軽く読めそうだったが、数カ月前に柚木さんの別の作品の『BUTTER』を読んだときは、複雑なストーリーだったので、このお話は主人公が悶々と悩み続けるだけのお話なのかしらと少し意外だった。

 

 

 

しかし今まで読んだ柚木さんの小説は、年齢も背景も様々なキャラクターの女性を主人公にして、ポジティブさも、ネガティブな感情も共感できるものが多かったので、読み進めてみることにした。ストーリーが12章ある内の5章くらいは主人公の勘違いと空回りを面白おかしく書いているので、コメディ色が強く、主人公の妄想と突飛な行動と考え方が題名どおりクレイジーで可笑しかった。

 

ただ主人公の周りの登場人物たちの人生観や目標に対する、主人公の見方が冷静でシビアなので、女性の現実的なものの見方が描かれていて興味深かった。物語の内容は主人公の突飛すぎる行動と妄想はあるが、事件が起こるわけではなく、誰にでも起こりそうな日常的な事柄が書かれているので、共感できる設定だと思った。

 

主人公の悩みは最初から最後まで一貫していて、たった一つの事を悩み続けているが、一つの事柄を深く悩み続けると、それがどのような内容でも、他の事柄に対しても視野が広がるものなのかもしれないと感じる部分がいくつかあった。フィクション小説ではあるけど、セックスレスなだけで、夫婦仲は良く、お互いを思い合っていて、仕事も充実し、対人トラブルの悩みもないような設定だったので、人とはどんな環境でも何かしら悩んでしまうものなのかもしれないと思った。

 

(30代女性)

 

 

 

 

奥様はクレイジーフルーツ
柚木 麻子
文藝春秋
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