「さらさら流る」の読書感想文
美しい装丁のハードカバーである、「リベンジポルノ」を題材とした考えさせられるテーマ。柚木麻子さんならではの人間の感情のドロドロさや潔さなどの感情描写がとてもよかった。タイトルの「さらさら流る」というのは主人公の自宅の下に通っている川の流れのことを指しており、地下の下に流れていて見えないけれど、脈々と流れる様子。
”主人公のまっすぐな性格”と”元カレの屈折した性格””温かい家庭に育った主人公”と”義母との事情を抱えた元カレ”物語のラストもまた対照的だ。作者の柚木麻子さんはこの本を通してこの社会が男性中心に出来ていることその結果、女性が生きにくい面の多いこと男性の自己中心的さが、女性への凶器になっていることへの警鐘や問題提起であり、同時にそれでも力強く生きてという女性へのエール、そういうことを伝えたかったんだろうなと思った。
男性がこの本を読んでもおそらくは女性が抱える理不尽さ、みたいなものが描かれているとは気づかないかなぁとも思う。主人公は決して、ジェンダーを高らかに叫ぶような人柄ではないし、むしろ、大素直で男性に大人しくついていくような性格だ。それでも、主人公の心情が記されている場面では、女性ばかりが我慢したり、非難されたりすることに対する理不尽さに悶々とする様子が描かれている。最近は男の人も優しくなり、気遣いもでき家事も出来る人も多いと思う。
ただ、やっぱりそれも若い人に多い傾向で、職場で見る男性=権力や男性という立場で見ると女性が我慢したり不公平に甘んじなければならないような不安がある。男性こそが優しくてあったかいんですが、仕事で感じたトラウマが深いみたいだ。時々、誰かを助けようとして亡くなられた方の悼ましいニュースが流れたりするとなんとも言えない気持ちになる。勇気と優しさと正義とそんないい人が、、、と。
大抵、男性である。本来、優しいのは男性だと思う。だけど、権力のニュース。政治家や権力者の理不尽で横暴な利己主義な映像を目にすることも多い。そんなとき、身近な人間を思いだして、一緒だわ!そっくりだわと思うこともやっぱり多い。なんて、いっぱい考えさせられた本だった。
(40代女性)
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