読書感想文「3時のアッコちゃん(柚木麻子)」

この本は「ランチのアッコちゃん」の続編である。主に前作同様に20代30代の女性を主人公にした短編が入った作品だ。やはりいいのは、悩める女性を支えるアッコさんこと黒川敦子が魅力的だ。仕事の行き詰ったOLの背中をそっと押してあげる感じがいいのだ。

 

わざわざアッコさんは、元後輩の会社の会議に出向きお茶やお菓子を出す場面があるのだがお菓子やお茶がそれはおいしそうに描かれている。私もお菓子が好きでこの本の影響で紅茶を買いに行ってしまった程だ。アッコさんのお菓子はコンビニのお菓子などではなく手作りでひと手間かけてお茶も美味しくいれるのだ。

 

やはり、私も例え会社の会議だからといって安いお菓子などではいけないなと感じた。食べるものによってお茶を変えたり、そういった心配り、おもてなしをすることで人とのコミュニケーションが変わりアイデアもでるのだ。それは、とても仕事をする上でも大切だなと気付かされる話しだ。

 

また、別の主人公の話で就職活動をする女子大生の話があった。アッコさんは直接的には出てこないが、わたしはこの女子大生にとても共感した。この女子大生はなかなか就職先がきまらず悩んでいる。その女子大生の悩みが私の就職活動の時の感情ととても似ていたのだ。よく知らない会社だけど、面接もあるので自分の経験にこじつけて自己アピールしたり、興味もないのにその会社の商品を好きだというのである。

 

その時のむなしいというか、面接で落とされた時の自分が必要ない人間に感じるような気持ちが描かれていて、ものすごく私も同じだったので主人公に感情移入しやすかった。就職活動でうまくいかずに追い詰められて、人の不幸さえも願ってしまうぐらい気持ちが下がる人って私だけじゃなく経験している人も多いだろう。だから今就職活動していて悩んでいる人に、同じように悩んでいる人はいるから大丈夫一人じゃないと思って読んで欲しいなと感じる作品だ。

 

そして、主人公が悩みつつも、少し希望が見えてくるということに勇気づけられる。その主人公たちというのが何か特別な人ではなくどこにでもいる女性たちなので、どこかに必ず自分と重なるところがあり、読んだ後にとても気持ちが軽やかになる物語だと思った。

 

(20代女性)


 

 

 

 

この、3時のアッコちゃんは前作、「ランチのアッコちゃん」に次ぐアッコちゃんシリーズの第2弾である。全作品と同じように今回の作品も一話完結型で、四話によって構成されている。作品の根本は第一話、第二話がアッコちゃんが周りにいる人たちの悩みをばっさ、ばっさと素晴らしく、うらやましくなるような行動力で解決していくという内容である。

 

第三話、第四話に関しては、若干の関りを持たせて入るが、基本的にはアッコちゃんは登場しない。私の感想としては第三話、第四話よりも、やはりアッコちゃんが大活躍する第一話、二話が面白く感じる。第一話、アッコちゃんの元後輩のOLが仕切る会議がなかなか思うような結果を出すことが出来ず、どうしたものかと悩んでいるところにイギリスで旅をしてきたアッコちゃんが登場するのだ。

 

アッコちゃんはその会議の場に本場イギリス仕込みのアフタヌーンティーのサービスを持ち込み、毎回会議のたびにアールグレイやダージリンなどの紅茶と共に本格的なショートブレッド、サンドイッチ、ビクトリアケーキ、スコーンそして、中に銀の指ぬきを入れたクリスマスプディングまで用意するのである。

 

その都度アッコちゃんの後輩OLはハラハラドキドキしながらも、アッコちゃんの助けをかりつつ会議を良い方向へと導いてゆくのである。この中で、どんどん会議が良い方向へとむかっていく爽快感も楽しいのであるが、先ほど挙げたサンドイッチやクリスマスプディングなどの細かい描写が何とも言えず美味しそうである。

 

ちなみに、アッコちゃんの数ある肩書の中には「ティープロフェッショナル」なるものも含まれている。一体アッコちゃんは何者なのだろうかと思わずにはいられない。第二話ではブラック企業でくたくたに疲れたOLが登場する。ここではアッコちゃんは彼女に毎日栄養たっぷりのスムージーを飲ませ、アッコちゃんらしい大変爽快な方法で、体の回復とともに心の気持ちの回復も成し遂げている。これらの作品を読むと、自分もアッコちゃんのように強く生きてみたいと思わずにはいられないのである。

 

(40代女性)

 

 

 

 

 

3時のアッコちゃん (双葉文庫)
柚木 麻子
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