読書感想文「私的生活(田辺聖子)」

今から30年以上前に読んだ本です。今から30年以上前に読んだ本です。2,3年前に文庫本のカバーがリカバリーされたのをTSUTAYAで見て、思わず買いました。それ以来、何度も読み返しています。一作目の「言い寄る」に続くシリーズ二作目です。三作目は、「苺をつぶしながら」どれもすきなんですが、この「私的生活」が一番好きです。

 

物語の軸は、三十路の女、乃里子と年下の剛との結婚生活。自分で画家として生計を立て、1人悠々自適に独身生活を謳歌していた乃里子。好きな仕事に、自由な時間。前作では、心から好きだった五郎ちゃんを親友に取られた後もすきだったけど、剛と出会って、惚れられる気持ち良さに目覚めます。

 

 

剛はとにかく豪快で男気があって、セクシーで…とにかく私は剛みたいな旦那さまが理想なんです。乃里子も、最初はあしらっていたけれど、窓からの景色が素晴らしいマンションを一目で気に入り、思わず結婚する!と言ってしまうあたり、まさに理想的。財閥の御曹司で色男。会話も洒落ていて仕事もバリバリこなすところ。じゃれあうやり取りが好き。

 

いい歳こいた大人がセッセッセッをするなんて甘ーい時だから出来る事。ショートカットで小柄な乃里子の髪の毛をくしゃくしゃにして、胸に抱き抱えたり柔道の技みたいにコテンと転ばせて遊んだり。仕方なく結婚したようにみえる乃里子も甲斐甲斐しく朝ごはんを作ったり、剛の親族との付き合いをしたり。

 

全編がテンポのいい軽妙な大阪弁での会話。乃里子がいつも思う、自分に参っている剛をみくびって、軽蔑しているというところ。よく、わかるんです笑順調そうに見えた2人の関係も少しずつ変化ぎ訪れるあたりから胸がくるしくなってきます。自分の事を心底好きな相手じゃ物足りないというか、軽蔑する気持ち。

 

乃里子が、別れを切り出したのはそれだけじゃないけれど、剛の元を離れるまでを書いています。最後の別れのシーンは剛の事が心から嫌いじゃない乃里子の気持ちが、痛いほど感じられ号泣してしまいました。スイートとビターが入り混じった私のお気に入りの一冊です。

 

(50代女性)

 

 

 

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