読書感想文「むかし・あけぼの(田辺聖子)」

この本は清少納言の「枕草子」を現代風にアレンジして書いた本です。枕草子は平安時代に書かれた古典としては原文でも随筆なので十分に読みやすいと思いますが、この本は清少納言、また清少納言が仕えた一条天皇の中宮であった藤原定子の日常がとてもいきいきとかかれている。

 

清少納言が当時置かれていた状況を踏まえることができるのでとても面白かったです。枕草子には色々な項目がありますが、現代に生きる私たちでもそうそう!と共感できる部分がたくさんあります。

 

子供がいたずらしているのにきちんと叱らない母親を見て腹立たしい、という章があるのですが、これなんかまさにそうだと思います。その他にも「そうそう!」と思わずつぶやいてしまう章がたくさんあり、千年以上も昔に生きていた人なのにとても身近に感じることができます。

 

 

清少納言が仕えた藤原定子は藤原道隆の長女で、4歳年下の一条天皇のもとに入内しました。枕草子の多くの章はこの定子の美しさ、聡明さ、人柄の気高さなどをたたえるために割かれています。藤原道隆は有名な道長の長兄であり、道隆が病死した後は世の中の栄華は道長一族のもとに移り、定子の家族は没落していくのです。

 

天皇の中宮という尊位にありながら兄弟は逮捕、それを悲観して当時の女性の美しさの基準であった長い黒髪を自分で切って尼になってしまいます。が、一条天皇は美しく、賢く、優しい定子が尼になっても忘れることができず、宮中に再び迎え入れます。定子は第3子である皇女の出産時に亡くなるのです。

 

このむかし・あけぼのは定子の栄華をたたえており、没落後の事はあまり書かれていません。それは定子の輝かしさを何千年後までも語り継ぐためで、あえて暗い話は書かなかったとされています。その清少納言の意図は見事に果たされ、読後は定子の素晴らしさに胸がいっぱいになります。

 

権力者道長の精神的に屈せず、あくまで中宮として誇り高く生きた定子。定子は私の理想の女性です。

 

(40代女性)

 

 

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