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読書感想文「心理試験(江戸川乱歩)」

「心理試験」の読書感想文

用意周到に準備していたことが、かえって裏目に出る。この一言に集約してもいいんじゃないかと思える、江戸川乱歩の「心理試験」。金持ちの老婆を殺してその金を奪う、苦学生の自分が救われる、これのどこがいけないんだ?という理屈から、完璧な殺害を計画し、実行した主人公。
 
しかし、予想外のことが起こり、警察に呼ばれ、心理試験が行われることがわかった。それに対しても周到な準備と練習を行い、試験に向かう。ここ数年、「心理○○」というものが流行しているように思う。書店にいけば、「~~の心理テクニック」や、「かならず口説ける!心理テクニック」、「人を操る心理テクニック」など。 
 
恋愛・職場、あらゆるシーンで、心理を技として使うことが書かれた本で溢れている。ここで少し疑問を感じる。このテクニック、自分に使われていると思ったら、どう思うだろうと。これらの書籍は、「自分が使う」ことを前提に書かれているし、読者は自分がその技を使って、何かしら目的を達成しようとしているはずだ。
 
でも、相手がこのテクニックを知っていたら?「あ、このテクニック、あの本に書いてあったことだ」と気づいたら?もしもの話、私が付き合った男性が、加藤鷹の「ベッドでのテクニック」というものを使い、私がその本を読んでいたとして、「あ、これ加藤鷹の本に書いてあったことと同じことしてる」と気づいてしまったら・・・。
 
しらけるどころじゃないと思う。もちろん、相手は私を喜ばせたいとも思っていただろう。だからこそ、マニュアルどおりのテクニックを使ってくる。しかし、それがばれたら、その効果は半減で済むのか?鼻白んだ雰囲気のなか、ショックは倍になって返ってくるんではないだろうか。
 
心理テクニックを、「使われた」と思っていい気持ちになる人はいるのか。いるとは思えない。気づかず使われてこそ、効果のあるものだ。この小説の主人公は、用意周到に準備していたにもかかわらず、思わぬところを突かれて、そこから犯罪が明るみに出てしまった。
 
完璧な準備なんて、ありえない。予想外のことはいつでも、どんなことでも起こる。だからこそ、マニュアル本に頼ってばかりいてはいけない。
 
(40代女性)

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