読書感想文「黒蜥蜴(江戸川乱歩)」

とにかく主人公の黒蜥蜴の描写が妖艶かつ可憐な女性で、他に類を見ないほど魅力的だと感じた。物語は彼女が街中で裸でダンスを踊る場面からスタートするのだが、そのセクシーな描写にぐっと心を惹きつけられた。魅力にあふれた黒蜥蜴は人を味方につける方法がとても巧みで、これだったら何でも言うことを聞いてしまうよなと思った。

 

特に物語序盤の、大胆な方法で青年を手名付けて忠実な部下にしてしまう場面はとても印象的だ。こんな女性が身近にいたら何かと大変そうだけれど、男を手玉に取る彼女の艶っぽさとしたたかさは同じ女性としてぜひとも真似したいと思った。恋の駆け引きや人間関係にも応用できるかもしれないので。

 

 

 

彼女のライバルは沈着冷静で頭脳明晰な明智探偵なのだが、黒蜥蜴の明智探偵に対する愛憎混じり合った複雑な感情にはとても共感できた。憎しみと愛情は紙一重だと私も思う。好きだからこそ憎くなるし、憎かったはずなのに好きになっているなんて経験は私にもある。

 

ストレートに彼に愛の告白をせず、明智探偵を困らせることで彼とのつながりを感じ嬉々とする黒蜥蜴は女性としてとても可愛らしいなと思う。黒蜥蜴は、今でいうところのツンデレヒロインの走りかもしれない。彼女のように、男を手玉に取るしたたかさがあるのにどこか隙のある女性は、異性に好かれやすいのではないだろうか。

 

私は駆け引きせずに愚直にぶつかってばかりいるので、「本心はどっちなんだろう」と男心を巧みにくすぐる彼女の天性の魔性さを見習いたい。また最後の場面での、明智探偵の黒蜥蜴に対する態度もなかなか素敵だった。盗賊と探偵という敵対関係にある者同士とはいえ、黒蜥蜴に対して懐の深さを見せていたところに非常に心惹かれた。

 

彼も、男らしくてとても格好いい人物だ。「敵に塩を送る」ではないけれど、たとえライバル関係にある人であっても、明智探偵のように尊敬の念と人としての思いやりは忘れないようにしたいと思った。

 

(20代女性)

 

 

 

 

黒蜥蜴

黒蜥蜴

posted with amazlet at 19.01.03
(2016-11-29)

 

 

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