読書感想文「少年探偵団(江戸川乱歩)」

名探偵明智小五郎のシリーズといえば怪人二十面相との対決で知られているが、忘れてはならないのが少年探偵団である。この少年探偵団は明智小五郎の弟子である小林芳雄少年が団員の十人の少年を募って結成した。本書を読むと団員達が事件の解決に向けて奔走している様子が目に見えて分かり、応援したくなる。今回は明智探偵の出番は少ない。
 
黒い顔をした怪物が登場し、東京中でその噂が広まる所からこの物語が始まる。その後少年団の一人、篠崎君の家で所蔵している呪いの宝石が盗まれ、さらに妹の緑ちゃんの誘拐事件が起こるが、それを小林少年と少年団の連係プレーによって解決するのだ。少年団のメンバーは小学生ばかりで、皆が明智探偵の事を尊敬している。
 

 
 
未成年でピストルを手にする事が出来たり、事件の犯人を捕まえるために尾行をしたりする所は警察官顔負けである。常識で考えたら大人に怒られそうな事だが、少年団は明智探偵の命令で簡単に実行出来る。子供の頃は少年探偵団に入るのも夢だったが、それはヒーローに憧れていたからだとも言える。
 
人は誰でも、一度は勧善懲悪の世界に憧れる時代がある。私の場合は幼少期は親が世界の中心にいて、一緒に遊んでくれる時もあれば叱られる時もあったが、その頃の経験が善悪の判断にかなりの影響を与えたと思っている。親が良いと言えばそのまま。叱られればやってはいけない。
 
そんな風に価値基準が決まっていた。自分がした事が親の基準から外れると、落ちこぼれのレッテルを貼られる事になる。少年探偵団に憧れた理由は、団員の少年達の両親が全員強い信頼関係を結んでいた事である。
 
前述の篠崎君の家では両親が彼に所蔵している宝石の事や緑ちゃんについて相談をするが、親はよほどの事がない限りそんな大切な事を小学生の子供に話さないものだ。少年探偵団への加入を許可してくれるうえに大人に相談しても難色を示されるような事を話してくれるなんて、本当に羨ましい限りである。
 
途中からは明智探偵も加わり、冒頭で登場する黒い顔の怪物と数々の事件の犯人が、「怪人二十面相」で牢獄に入れたはずの二十面相だという事がわかる。本書では明智探偵と少年探偵団の団員達と怪人二十面相の頭脳戦も面白いが、師弟や家族、友人達との絆も所々に感じられ、読んだ後は爽快である。
 
(40代女性)
 
 
 
 

少年探偵団
少年探偵団

posted with amazlet at 19.01.03
(2016-05-17)

 
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