「『罪と罰』を読まない」の読書感想文
文豪ドストエフスキーの世界的名作『罪と罰』を読んだことのない4人が集まって、ストーリーを予測しながら考察して行くという奇妙な試みの座談会。その様子が会話形式で記録されている。まずこのアイディアが大変ユニークでおもしろい。
読み終わったあと、私もぜひやってみたい!と居ても立っても居られなくなり、近場で開催されている読書会を片っ端から調べてしまったほどだ。しかし大学にいた頃ならいざ知らず、この前提でおもしろく語り合える仲間を集めるのはなかなか難しい。
この本の座談会も、『罪と罰』を読んでいないとはいえ、文芸に関わる作家や翻訳家の集まりだからおもしろくなったのだろう。私自身は『罪と罰』を読了しているが、もう何年も前のことなので、ストーリーの細部は忘れてしまった。大まかな筋といくつかのシーンを覚えているだけで、名前を聞いても誰だか思い出せない登場人物ばかりだった。
なので、座談会の参加者たちと一緒に記憶をたどり、ストーリーを推理してみたが、この作業がとても楽しかった。そして参加者たちはさすがに発想力豊かで、なるほどと唸らせられることが多かった。さらに主人公をさんざんけなしたり、ドストエフスキーに対しても正直にツッコミを入れていたりして、笑わせられながらもハッとさせられた。
ここまでの名作だと、絶対に素晴らしいものに違いないという先入観があるので、批判的に読むことが難しいのだ。今まで深く考えずにストーリーだけ追っていたかもしれないな、と反省した。時代も変わっていくし、名作にだって自分なりの疑問やツッコミどころは見つかっていいわけで、もっと素直に読んでみようと思った。
後半にネタバレで『罪と罰』の登場人物紹介とあらすじが載っていて、ある程度答え合わせができたが、ぜひもう一度再読してみようと強く思った。また、読もう読もうと思いつつ読んでいなかった名作についても、同じように先に予想をしてから読んだら、より楽しめるだろう。小説の新しい読み方を発見できて、とても満ち足りた気分だ。
(20代女性)
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