「暗いところで待ち合わせ」の読書感想文
駅のホームで殺人事件が起き、それに巻き込まれるアキヒロ。彼はその事件の容疑者として追われるようになります。そして、逃げ込んだ先は、ミチルという女性の家。彼と彼女は全くの他人でした。
彼は彼女の家の居間の隅にうずくまり逃亡生活を過ごします。彼女が彼の存在に気付かない…。しかし、彼女も徐々に家に自分以外の誰かが居る気配を感じ取ります。はっきりと正体は分からない。見えない同居人に不安を抱きながらも、少しずつ変化していく彼女の心情。
なぜ、アキヒロは危険を冒してまで彼女の家に隠れ住むのか。ミチルは彼の正体を掴む事が出来るのか。そんな生活の中で、不思議と近付いていく2人の距離感がとても繊細に描かれています。そして、物語は駅のホームで起きた殺人事件の進展と共にクライマックスを迎えます。
乙一作品は通して、人間の機微を上手く表現し、物語の真ん中に持っていく事が多いのですが、この作品はその表現が本当に上手く物語にハマっていると感じました。読んでいて暗い気持ちになる部分が多くなりそうな内容であるにも関わらず、不思議と話の中に入り込んでしまいます。
人間の中の感情の小さな変化から物語が大きく動く。そしてミチルがアキヒロの存在に気付かない理由、それを活かした話の展開や二人のやりとりがこの作品の重要な要素となっています。誰かを利用する事には必ず理由がありますが、アキヒロも初めはミチルを利用する気持ちと罪悪感がありました。
そこからミチルに対する感情の変化。逆に利用される側のミチルの気持ちと憤り。そこからアキヒロに対する感情の変化。この二人の心の距離が近づく様子が本当に良く表現されています。最後にこの二人の関係はどうなってしまうのか。殺人事件の真相は。この世界に引き込まれます。
(30代男性)
夏休みの宿題の読書感想文、私も「暗いところで待ち合わせ」書きました!!!乙一さんの世界ってちょっと不思議で面白いですよね~!!!
感想文をどの本で書こうか迷ってる人にはオススメですよ!!!