読書感想文「椿山課長の七日間(浅田次郎)」

もうすぐ30になる娘が大学生の時の話。東京に下宿して、普段生きてるんだか死んでるんだかさえわからないような、こちらからやいのやいの言わないと連絡してこないずぼらな娘から、ある日珍しく電話が来た。開口早々「お母さん、生んでくれてありがとう、育ててくれてありがとう。」私は目が点になった。いったいどうしたと言うのだ。

 

普段連絡もなく、話をすれば面白いことにしか興味がなく、私の話も「それオチある?」「はい!つまらん!」とバッサリ切って落とす娘である。それが「生んでくれてありがとう」ときたもんだ。おそるおそる「どうしたの?何かあったの?」と聞いてみる。すると本を読んで非常に感動して、ちゃんと生きてるうちに感謝の言葉は言っておかなければならないと思ったから電話したと言う。

 

このずぼらで普段面白いことにしか興味がない娘をここまで感動させた本って一体なんだ?私は聞いてみた。「どんな本なの?」そこで出たのがこの本「椿山課長の7日間」だった。私は本を読むのが好きだけれど、歴史やファンタジーが好きなので読む作家が極端に偏っている。恥ずかしながらこの時、まだ一度も「浅田次郎」という作家の本を読んだことがなかった。

 

 

 

私は次の日に早速本屋さんへ行き、浅田次郎なる作家の「椿山課長の7日間」なる問題の1冊を買ってきた。これが私と浅田次郎との初めて出合いであった。次の日一日で一気に読んで大笑いして大泣きして私は心の底から感動したのである。本を読んでここまでボロ泣きしたのも久しぶり。たった一冊で私は浅田次郎のとりこになった。あれから何年経っただろう。

 

今でも時々無性に泣きたくなる時がある。思いっきり泣くのってストレス解消にとっても良いのだそうだ。そんな時はこの一冊を手に取る。私の大切な愛読書。初めて出合ってから何度手にした事だろう。きっと誰にでも人生の愛読書ってあるのだろう。私の大切な1冊、それはこの本「椿山課長の7日間」。人間みないつかは死ぬ。

 

死んだ時に「やり残した事はないか?」「後悔はないか?」とこの本を読むことは、それらをあらためて考えるきっかけになる。平凡な毎日でも生きていることに感謝して精一杯前を向いて生きていこうと、この本を読んで思った。

 

(50代女性)

 

 

 

椿山課長の七日間 (朝日文庫)
浅田 次郎
朝日新聞社
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