読書感想文「花のベッドでひるねして(よしもとばなな)」

こんなに愛された子どもがいて、子どもから愛された親がいて、幸せな光に包まれた気持ちにさせてもらえた。海岸に捨てられていた赤ちゃんを、病気で子どもが産めなくなった女性が連れて帰り、血の繋がった子ども以上に家族みんなで慈しんで育てた。そうやって育てられた子どもは、こういう大人になれるんだ、と素直に感じることができる。物語では、家の裏にあるビルの不吉な感じがピシピシ飛んでくるし、殺人があったことも明らかになったりする。
 
黒い、嫌な影が出てくるんだけれども、そんなことを跳ね返す、というか、汚れなき幸せな光のパワーで影を包み込んでるような感じで、暗いムードにならない。光のパワーが凄い。自分にも子どもがいるし、仕事柄多くの子どもと接している。今まで出会った子どもたちは例外無く親からの愛を十分与えられていた。ニュースで見聞するような虐待だとかネグレクトだとか子殺しなどとは縁がない。ニュースになるような事件を起こす親は本当にごくごく一部だとは思う。自分も含め、子どもを愛することのできる親ばかりが周りにいてくれて幸せなことだ。
 
でも中には少しだけ、愛情の与え方が違うとまでは言えなくて、でもなんか子どもが辛そうだ、と感じる親はいる。子どものためを思って言ったりやったりしてるんだろうけど、「ちょっと厳し過ぎませんか?」と伝えたい。躾と称した事件は案外こんな愛情からエスカレートしているのかも。逆の、おかしな「そのままのアナタでいいのよ」親も危なく感じる。ペットを可愛がる行為に近い。

 
 
「自立した大人になってほしいと思いませんか?」と尋ねたくなるような甘やかしぶり。愛があるなら、ダメなものはダメと教えてほしい。この小説の両親は、捨て子だからと腫れ物に触るような愛で育てたのではないことも伝わってくる。親が子を、子が親を大切に思う気持ちが、正しい言動となって表現されていて、清々しい。
 
亡くなったおじいちゃんもよく登場する。欲しいものが手に入ってしまう不思議な力を持ったおじいちゃんだ。人から不思議がられると、「みんなは手に入らないものを欲張って欲しがる。自分は必要なものだけを心から欲しいと思うから引き寄せられるし、それは誰もが出来るんだ。」みたいなことを言う。このおじいちゃんの言葉は全てが素晴らしく、そして格好いい。生死のことも出てくるが、何も怖がることはないんだ、柔らかな幸福感を感じて、自分に起こる全てのことを受け入れ、力まず立ち向かっていきたいと思う。
 
(40代女性)
 
 
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