読書感想文「骨音―池袋ウエストゲートパーク3(石田衣良)」

石田衣良の人気シリーズの3作目である。おそらく、ドラマの方の池袋ウエストゲートパークを知っている人が多いであろう。ドラマの方は脚本を書いた宮藤官九郎の特徴がよく出ているのだが、原作となっている小説が元になっているので、ドラマを見た人は小説の方も読んでおいて損はないだろう。

 

この小説は、シリーズ1作目にかなりのインパクトがあった。しかし、1作目で失速することはなく、3作目となった今作でも面白さを維持している印象である。そのためなのか、タイトルの「骨音」のストーリーは、再び宮藤官九郎の脚本でドラマ化された。小説の内容としては、当時の社会情勢やその後のことを先取りしているように思われる。

 

 

 

これが人気シリーズの小説になっている理由であろう。まず、池袋の裏の部分をよく描写しているように思われる。池袋の繁華街の裏の顔が、小説の舞台になっているのだ。日頃から池袋に行っている人は、池袋の知らない顔を知ることになるので、驚くことになるだろう。話としては10年以上前の池袋周辺のことなのだが、現在でも古さをあまり感じずに読むことができる。

 

そして、この小説のもう一つの大きな特徴としては、長編ではなく、短編集の集まりであることである。基本として、1話完結形式で話が進むと考えていいだろう。長編小説を読むことに苦労している人は、こうした構成は読みやすく感じるのではないだろうか。著者の石田衣良は、テレビでよく見かけることがあるが、かなり温厚な人物に見える。

 

しかし、彼が描く小説にはかなりハードな表現があり、作者の温厚な人柄とのギャップを楽しむことができる。石田衣良の裏の顔が見られるように感じる。そして、池袋の裏の世界をスリリングに描いていることが、この小説の面白さになるであろう。主人公のマコトの独特な一人称の文体が、それを際立たせている。

 

それからさらに、池袋のキングと呼ばれるタカシの氷の冷たさの存在感が強烈である。残念な点としては、短編集の集まりであるため、謎解きなどの内容が薄いことである。個人的には長編ものを読んでみたい。

 

(40代男性)

 

 

 

 

骨音―池袋ウエストゲートパーク3 (文春文庫)
石田 衣良
文藝春秋
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