読書感想文「シューカツ!(石田衣良)」

私はこの「シューカツ(就活)」を題材にした石田衣良さんの作品を、結婚後、退職した後に手に取った。退職した人間が、これから就職活動する作品を読むのことが何だか不思議な気分だった。この作品は、就活を控えた女子大生が主人公だ。テレビ局や出版社という所謂マスコミに狙いを定めて、仕事を得るために奔走するストーリー。その中に、友情や恋のようなもの、主人公や友人達のそれぞれの価値観や葛藤が描かれている。

 

登場人物達が全員高学歴で、マスコミや大手志望という、いかにも華やかで御誂え向きな設定に、はじめは感情移入することができなかった。それにもかかわらず、主人公が諦めずに就職活動を行い、四苦八苦しながらも未来を切り開いていくストーリーに、徐々に「頑張れ」とエールを送りたくなるようなった。少年漫画を読んでいる時のように、手に汗握るような、純粋な気持ちになれた。

 

 

 

不採用になり自分自身が否定されたようになる気持ち。自分の未来がこの社会にないような不安や焦り。自己否定。就職活動時に、誰もが感じるであろうネガティヴな気持ちが代弁されている。「仕事探し」という、ほとんどの人が経験することなので、読者が自らの体験から情景や心情をイメージしやすく、共感しやすいのではないかと思う。

 

また、「人間は金のためだけに働けるほど、強くはないんだよ」、「最悪なのは過去にとらわれて、目のまえのチャンスを逃すことだ」など、胸に留めておきたい作者流の格言が、セリフや地の文の要所要所に鏤められている。これから社会にでる人達にとっては、どういった人材が可愛がられるのかや、必要な心構えという点で参考になるのではないかと思う。

 

自分の弱みも強みもどちらも紙一重で、その個性をどう活かすかということが大切なのだということをこの作品は示唆してくれる。私個人の短くはない社会人生活の中で学んだことと、この本に書かれていることには重なる部分が多く、納得しながら読むことができた。有意義な読書の時間を過ごす事ができた。本当に辛くて大変で自己嫌悪に陥ってしまう就職活動。そんな就職活動にただただ前向きに乗り切る主人公達に胸が熱くなる。

 

(30代女性)

 

 

 

 

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